二階堂奥歯さんの亡くなる直前まで書かれた2年間の日記と彼女と関わりがあった人達13人による文章を掲載。日記を読んでいて彼女の趣味趣向が私と重なる部分が多くて親近感を覚えました。また彼女が紡ぎ出す言葉の数々は私の奥深いところまで刺し貫いて、激しく共振するよう。奥歯さんの圧倒的な知識と読書量、感性の鋭さ、豊かさには目を瞠るばかりです。日記は2003年4月になってから彼女の悲痛な叫びが書き込まれ、書物からの引用のみの内容が続いたり、身近な人達の言葉も記され、今にもバラバラに砕けそうな自己を、あらゆる「言葉」で保ち、ぎりぎりなところで生に繋ぎ止めていたその有様には只胸が痛むばかりです。それと同時に言葉が持つ力の限界さ、脆弱さに、無力感をまざまざと突き付けられて打ちのめされたような気分です。もっと奥歯さんが綴る言葉を読みたかったし、彼女の深い思索を辿りたかった。編集者として携わった本を読みたかった。それが叶わないのがとても寂しいです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2020年3月4日
- 読了日 : 2020年3月4日
- 本棚登録日 : 2020年2月6日
みんなの感想をみる