新編 若き知性に

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  • 新日本出版社 (2017年7月8日発売)
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感想 : 2
5

15編の評論、5編の伝記をまとめた1冊。これらが書かれたのは今から約80年前。だけれども彼女の鋭い知性に裏打ちされた言葉の数々は全く古くなく、寧ろ今の時代をも見通していたかのように強く新しく響きます。それは彼女が命懸けで生き抜いた時代と現代社会が実は殆ど変わってはいないことの証左かもしれません。彼女の評論は女性が抑圧され虐げられてきた歴史、社会、世俗を冷静に見詰めながら、戦後の混乱期、新憲法が樹立した新しい時代をどのように生きたらよいのか、それには何が必要なのかを説いていて、それには男女ともに手を携え、どちらかに隷属することなく、協力しながら新しい歴史を創造していくことが必要不可欠だと言います。百合子の言葉はいちいち全部が納得できることばかりで、この本は多くの人に読んで欲しい1冊。後半にまとめられた伝記もよくあるような「神話的」な雰囲気に陥らず、困難な時代を迸る情熱と己の生命をかけて生き抜いた等身大の人物像が浮かびあがってきます。解説に記された百合子の人生も壮絶。でも物凄くかっこいい。女性画家ケーテ・コルヴィツが心に抱いていた言葉「才能というものは一つの義務である」才能というものが与えられてあるならば、それは自分のものであって、しかも私のものではない。それを発展させ、開花させ人類のよろこびのために負うている一つの義務である。これを百合子も思っていたのかもしれません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学
感想投稿日 : 2019年9月29日
読了日 : 2019年9月29日
本棚登録日 : 2019年9月28日

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