不思議な読み心地の美しい物語でした。硬質な物への愛着、永遠への憧憬は美しい結晶を形造る。温度のない世界、正多面体の結晶が煌めく世界。その結晶達は人の高次元な精神、思考が結実したものであり、世界を探索し「知る」ことへの強い意志や理想すらも含む。物語は円環を描き、結末に至れば新たな結晶が生まれる。それこそ永遠のものとして。岩塊や様々な鉱石や結晶が存在するヴンダーヴェルト(驚異の世界)は宮沢賢治の世界に通ずるように思えた。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2022年2月6日
- 読了日 : 2022年2月6日
- 本棚登録日 : 2022年2月6日
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