大好きで、幾度も読み直したり、部分的にページを捲った本の1つ。
当時、男女の濃厚な情愛のイメージしかなかった私にとって、陰翳礼讃は驚きと共に、谷崎潤一郎の表現力を改めて思い知らされる1冊となった。
例えば和紙。例えば障子ごしの光。
日本ならではの「仄暗い」からこその美しさを、西洋と比べながら語り尽くす。
情景を表す言葉は巧みで、彼の言わんとする美がよく伝わってくる。
だが、そこまで言うかと思ってしまうほど、痛烈に西洋のそれを引き合いに出すものだから、苦笑いしてしまう。
そこも楽しいのだけれど。
文庫の半ば、恋愛及び色情の章では、今それ言ったら炎上しそうな発言もあるが、逆に、時代の流れ、世の中の移り変わりを冷静に感じながら読み進めて頂きたい。
谷崎の纏わりつくような色気の表現は、こういう目線と感性から生まれたのだ。
どこまでも興味深い。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年8月31日
- 読了日 : 2022年8月31日
- 本棚登録日 : 2022年8月31日
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