本書のタイトル『歴史を哲学する』とは、何を表すのか…哲学を学んだことがない人にとっては、疑問符が飛び交います。それは、「歴史哲学」についてのことだ…と言っても、まだ???。その?を解き明かすのが本書の目的です。
かくいう私も、哲学を学んだことがない人のうちのひとりなので、最初はうまく内容をつかめませんでした。特に本書における講義の第1日目(本書は、大学の講義をそのまま文章に起こしたような構成になっています。)、いきなりその核心に迫る講義内容で、「果たしてこんな理解(無理解)で、最後まで読み切れるのかな…」と不安になりました。それほど内容が分かりにくかったです。
その第1日目の主題は、「言語論的転回」と「内在的実在論」という言葉に表れていますが、これは最後まで読んではじめて、その内容が理解できるようになると思うので、最初は理解できなくても大丈夫だと思います。
次の第2日目の講義は、ぐっと砕けた感じになり、分かりやすい例が述べられているので、「歴史哲学」が何を言おうとしているのかが、分かりかけてきます。その後の講義は、その「歴史哲学」について、ひとつずつ丁寧に展開されていくので、それらをひとつひとつ読み進めていくと、最後には「歴史哲学」がどのようなことなのかが、分かってくると思います。
そして、「歴史哲学」を知らずに「歴史」を語ることは、非常に危険なことなのだと感じます。でも、マスメディアなどでその「歴史」を語る人たちのうちどれだけの人が、この「歴史哲学」を知ったうえで語っているのかな…と疑問に思いました。「歴史」を語ることは、それほど大きな意味を持つことなのに、それに無理解なまま、安易に「歴史」を語っているのではないか…とちょっと不安に思いました。
- 感想投稿日 : 2014年1月25日
- 読了日 : 2014年1月24日
- 本棚登録日 : 2014年1月18日
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