夜行観覧車 (双葉文庫)

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本棚登録 : 8397
レビュー : 768
著者 :
りかこんぐさん 小説(2004〜)   読み終わった 

「痛くない人間など存在しない」。そう思った。
のっけからぐいぐい読ませる展開だが、誰に感情移入して読めばいいのかわからなかった。娘の顔色を伺いながら事なかれ主義の夫と生きて行かなければいけない真弓か?母親の理想のために振り回された結果日々学校で辛い思いをしている彩花か?同じく母親の期待を一身に背負ってストレスを感じている慎司か?亡き前妻と戦わなくてはいけない淳子か?
誰でもない。一方的に同情されるべき被害者などいない。それぞれに弱さがあり、その弱さゆえに他人を傷つけ、その弱さは御都合主義的にあっさり克服されない。大人というものが責任感を持ち感情のコントロールをできる人間、と定義するなら、最も「大人」らしいと思われた高橋家の長男良幸でさえ事件を知った直後妹のSOSメールを読んだあとにも関わらずすぐ実家に駆けつけることができなかった。
この小説は2つの家族の物語だが(小島さんちをいれれば三家族)、殺人事件をきっかけに、それぞれが他の家族にとって意外な一面、本性の一面を見せただけ、それもかなりチラリと見せ合っただけで、弱さや問題を抱えたまま幕が下りる。それでも家族同士で実は自分が本当はどんな人間か、どんなことを思ってきたのかを少しでも見せ合ったのはすごく大きな事で、それがこれからの遠藤家と高橋家にとって一つの足がかり的なものになると思った。
と他人事みたいに書いてみたけど、読んですごく怖くなったのは事実。痛くない人間などいない、ので、どの家庭でも起こりうることだと感じたから。

レビュー投稿日
2013年4月6日
読了日
2013年4月6日
本棚登録日
2013年4月6日
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