再読。「びっくり箱」「母上様・赤澤良雄」「愛という字」の三篇。「愛という字」では女性の浮気(未遂)の状況で、心の揺れる様を臨場感たっぷりと描き、揺れることもあるよねえと妙に納得させられてしまう。その小道具に画材店の絵の具を使い、色の名前を読みあげるだけで気持ちが徐々に高ぶっていくのを表すあたりは本当にうまい。結果として未遂に終わるのだが、その顛末も何一つ劇的ではなく自然にもとにおさまってしまうのも納得してしまう。
読書状況:読み終わった
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向田邦子
- 感想投稿日 : 2020年4月25日
- 読了日 : 2020年4月23日
- 本棚登録日 : 2020年4月25日
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