夢に殉ず (新潮文庫)

  • 新潮社 (1999年10月28日発売)
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感想 : 3

妻がいるのに、働かない上に浮気も一人旅行も嫁黙認でしまくりのフラフラ男はフィクションでも許せない!という人は読まない方がいいかもしれません。

結婚はしているが、フラフラとしている主人公・天野翔。
神経質で世間体を気にしている実の姉からは、彼女の娘の結婚式に出ないで欲しいと言われる上に海外出張で居ない体を装ってほしいといわれる程。
収入は主に一軒の安アパートの経営。服は大抵誰かのおさがりやフリマで安く買ったもの。
風呂はどこかで手に入れた薪を燃やして沸かすタイプ。
食卓に出てくる野菜も、畑で取れたもので、半自給自足生活。
おまけに、愛してやまない妻が居るのに、愛人が複数人居る上に、しょっちゅうあちこち知り合いの所などに旅行へ。

主人公は何かしらの組織に属して働く人間からみれば、きっと駄目人間と称されそうな人間ですが、友人は多く、いつでも心安らかに過ごしています。
曾野綾子さんはエッセイで日本人の心の貧しさについてお話しされていることがありました。
本作では、人が本当に大切にするべきもの、楽しむべき事を天野翔という男を通して綴られています。
天野飛翔が妻とテレビを見ている時は、若干キャラがぶれている感覚を覚えましたが、貧しくても心豊などうしてだが憎めない主人公は読んでいて少しホッとさせられます。
ページ数もあり、読み応えはかなりあります。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年5月22日
読了日 : 2016年5月22日
本棚登録日 : 2016年5月22日

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