ゼロから知る「古事記」: 編纂1300年。日本最古の書物を徹底ガイド (Gakken Mook CARTAシリーズ)
- 学研プラス (2012年6月16日発売)
思ったよりもかなりよかった。
古事記をトータルで理解する、と言うような構成にはなっていないけれど、かえってこの方がいいかもしれない。
古事記編纂の歴史的背景、古事記の大まかな構成、主に神代の時代の物語を、イラストを交えてダイジェストで伝えてくれる構成。
少なくとも「ゼロから知る」という題に嘘のない構成。特に、主に古事記の類書解説本で非常に不足しがちなビジュアル面について、ふんだんに盛り込まれている(資料やイラストなど、全般的に)。「ゼロから」でなくても有用。
特に、グラフィック要素は非常にいい。これが一冊780円、というのがちょっと驚きなくらい充実している。
少し驚いたのは、古代史について疑惑がある点(例えば、武烈天皇について)を触り程度ではあるが、記述がある点。
難がある点としては、日本書記に記述が基本的にかっさばかれている点。この本のメインテーマは、史書の性質のある古事記、ではないので、この点は止むを得ないところではあるが、古事記と日本書紀で、歴史的な記述に差異がある、という点くらいは、初級の解説書としてはもう少し言及があった方が親切な気がする。
後半に、砕けた文で書かれたダイジェストがあるが、これは個人的には構成上不要だったと感じる。
別にイラストで古事記を見せているため、蛇足感が強い。
新書だが、青春新書INTELLIGENCEの、「図説 地図とあらすじでわかる!古事記と日本書紀」と並んで、わかりやすいガイドブックだと思う。
しかし新書よりも、こっちの方が安い。絵や写真も多く、こっちのほうが取っつきやすい。
難点は、ムックのため、後から調達するのが難しいと思われるところ。見かけて買えたのは幸運だったと思う。
- 感想投稿日 : 2012年7月11日
- 読了日 : 2012年7月11日
- 本棚登録日 : 2012年7月11日
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