禁忌の子

  • 東京創元社 (2024年10月11日発売)
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本棚登録 : 587
感想 : 32
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ミステリの謎解きよりは、その場その場の展開を読んで楽しむ感じ。短い山場がいくつかあり飽きさせない構成。
生殖医療に対して作者の書きたいことが伝わったのが良かった。

ここまでの展開を経て、最後に「禁忌の子」が生まれることは、その子の今後の人生を思うとものすごく複雑な心境。
航と絵里香自身も「知らされていなかった」当事者であり、この点について二人に罪は無い。だからこそとにかく複雑。
とにかく、航には生まれてくる子を全力で愛するという決意があり、ラストまでに書かれた二人の人柄から、この両親ならきっとそうできるだろうという希望はある。
その点で、中川信也の父親が書かれているのも秀逸だと思った。納得して迎えたはずの子どもにすら、途中で態度を豹変させてしまうことがある。中川信也の生い立ちを知ったことが、航を良い父親にする支えの一つになると思わせられる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2024年11月15日
読了日 : 2024年11月15日
本棚登録日 : 2024年11月15日

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