ヤマシタトモコの描くショートカット×切れ長な目×下まつげ濃いめの女性は凛としたなかにも憂いを帯びて非常に魅力的。
心の闇も、女性的な粘着質を掘り下げず捌けた風に描くから、全体的にキレのある爽やかさが残る。
28歳バレエ講師と52歳大学教授の恋愛という、なんとも文化系女子には垂涎の物語。
西炯子の「娚の一生」のような設定だが、主人公が大手電機メーカーに勤める30代半ばキャリアウーマンであるのと、バレエダンサーを諦めた28歳のバレエ講師であることで、両者にちょっとした心情の違いが見てとれる。
前者は恋愛で失敗してきた過去を繰り返すことを恐れ、恋すること自体を懐疑的に捉えて、相手からのアプローチに少なからぬ不信感を抱いている前置きが長いが、後者はかつて一度も恋愛の経験がないために自分自身の感情と経験のなさに不安を覚えている「うぶ」さはあるものの展開は早い。
それは、(もちろん作者の違いは差し引いて)30代半ばと20代後半という年齢の違い、社会的な立ち位置の違いによるものだろうが、すべての妙齢女子たちはどちらの感情にも納得してしまうだろうなぁ。
つい数日前も友人と話題になったが、結局、女性が恋愛に求めているのは「父性」なのかもしれない。
私自身も父が大好きだ。
一般的にどうこうはさて置き、かなりのイケメンと思っているw。
年の差恋愛というのは、そういったユングのエレクトラコンプレックス(男性でいえばフロイトのエディプスコンプレックス)の埋め合わせが体現したものなんだろう。
だから、こういう類のマンガに強い憧憬を抱いてしまうんだろう。
- 感想投稿日 : 2012年8月12日
- 読了日 : 2012年8月12日
- 本棚登録日 : 2012年8月12日
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