Amazonの紹介より
東大卒、現役アイドルプロデューサー兼作詞作曲家。
異色の経歴を持つ著者がおくる、衝撃のデビュー作。
二人の別の人間が、偶然全く同じ音楽を作ることがあるのだろうか? 音楽プロデューサーの渋谷かえでが、ある仕事の相談のために大学の恩師を尋ねると、逆に奇妙な相談をされてしまった。今、日本で屈指の実力を誇る音楽家「蜂谷輪廻」。彼の新曲『恋の作法』が、教授が子供の頃に作った曲と瓜二つだというのだ。教授の知人として紹介された天才作詞家・猫宮と共に、盗作疑惑の真偽を調べることに。教授の勘違いだろうと思っていたかえでだったが、次第に蜂谷の盗作である根拠が明らかになっていく――。アイドルの失踪騒動 、デビューの意思を持たない天才ストリートシンガー……。音楽を愛する全ての人におくる、音楽業界連作ミステリ―。
王様のブランチで紹介されていたので、読んでみました。
音楽業界を舞台に、渋谷とちょっとクセのある作詞家・猫宮と協力しながら、騒動を解決していくライトなミステリーになっていました。
殺人といったものは一切なく、著作権がらみやアイドルが失踪といった音楽を絡めた話になっています。主にJーpop関連の音楽が中心で、実在の歌い手がいるんじゃないかと思うくらい、登場人物の描き方に現実性がありました。
特に第1章は、米津さんかな?と思うくらいの人物像がしっかりと描かれていました。
作者自身が音楽関係者ということで、その業界にいるからこそ、現場の描写が具体的でリアルな印象でした。
ただ、音楽用語が当たり前のように登場するのですが、コード進行といったあまり聞き馴染みのない言葉が続々登場するので、もう少し丁寧に解説にしてほしかったです。
主人公は音楽プロデューサーということで、その奮闘記も垣間見えました。常に新しい風を吹かせるため、色んなアンテナを貼ったり、所属するバンドをサポートしたりと大変さが窺えました。
連作短編集で、章が変わるごとに騒動に巻き込まれていくのですが、出来事を通じて、音楽の奥深さや魅力、無限の広がりを感じました。音楽の教養番組を見ているかのような知識もあって、面白かったです。
歌詞に込められた意味やアイドルグループの実態などミステリーとしてみると、意外な展開があって面白かったです。
凄い衝撃があるわけではありませんし、はっきりと解決して終わりというわけではないので、なんだか最後はモヤっとした余韻でした。
あとは当事者に任せて、我々はこれで去りますといった具合にカラクリはわかっても、実際本人はどう思っているのか?はわからずじまいで、奥歯に何か挟まった感覚がありました。
音楽小説でも、業界内のリアルを描いた作品をあまり読んだことがなかったので、新鮮味がありました。
- 感想投稿日 : 2024年3月7日
- 読了日 : 2024年3月5日
- 本棚登録日 : 2024年3月5日
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