文庫 バスを待つ男 (実業之日本社文庫)

  • 実業之日本社 (2020年4月7日発売)
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本棚登録 : 82
感想 : 9
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路線バス✖️ミステリーということで、西村京太郎さんのようなバスを使ったトリックを想像していたのですが、この作品では主人公が旅先で見たちょっと疑問に思ったことを解決していくミステリーです。

主人公は元捜査一課の刑事。定年退職し、余暇を楽しもうと妻の助言で、東京都シルバーパスを使って、色んなところを周ります。
ちなみに東京都シルバーパスは、東京都在住で70歳以上の方が使えるパス。東京都内のバスや都電、都営地下鉄が乗り放題です。

東京のコアなところや現地での歴史などを紹介していて、ちょっとした東京観光を味わうことができます。
旅先では、ふと疑問に思った人・場面を目撃し、元刑事の能力で解決!かと思いきや、事件を解くのは、その奥さん。主人公の話を元に解決していくという安楽椅子探偵のような存在で、一風変わった作品になっています。
この奥さんといったら、まぁ上品で、格好・言葉遣いが文章から清楚な雰囲気を醸し出していて、芸能人に例えてみると市毛良枝さんのような感じがしました。
その推理ぶりが秀逸で面白かったです。
内容としては殺人のような重めのテーマよりも、軽めなほんわかミステリーが多く、気軽に読めました。ちょっと物足りない感じがありましたが、「鬼のいる街」や「長い旅」の章では、本格的なミステリーが含まれていたので、色々楽しめました。

東京限定でしたが、自分の住んでいるところで、普段、車で通るところもバスを使ってみると、新たな発見があるかもしれません。新たな楽しみ方を味わうのも良いなと思いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2020年7月
感想投稿日 : 2020年7月7日
読了日 : 2020年7月7日
本棚登録日 : 2020年7月7日

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