6時27分発の電車に乗って、僕は本を読む (ハーパーコリンズ・フィクション)

  • ハーパーコリンズ・ ジャパン (2017年6月24日発売)
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本棚登録 : 450
感想 : 47
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タイトルに惹かれて図書館からレンタル。

主人公の性格的にこだわりの強かったり、数字を数えているところ、電車の中で突然スクリプトの朗読を始めたりするとこらから、自閉症のようなギフトを持った方なのかなぁと思い読みました。それが差別的とかどうということではなく。性格的なものという印象です。
大きな起伏はなく、淡々と、むしろ少し鬱々とした日々が絵が描かれる。
でもそれは呼吸のようにゆったりとしていて、ギレンの日常なのだなあと感じられる。

本が好きで本を愛しているのに、それを断裁しなければならない背徳感。
仕事だと割り切ることが出来ないギレン。
不器用で、でも人らしくて愛おしい。
元同僚のジュゼッペに対する思いやりや、度を超えた優しさもきっとギレンだからできることなのでしょう。

人の日記を読んでしまい、ひっそりと想いを寄せるギレンは純粋のようだが、それを電車で読み始めた時はドキドキしてしまった(笑)
最終的にはロマンスに発展しそうなところがフランスっぽくて素敵だなと思った。
ジュリーの日記は、たしかに格言というかハッとすることが書かれていて、思わず頷いて読んでしまう。
ギレンじゃなくても読み込んでしまう。
し、そこから職場を絞り込んだジュゼッペの執念たるや。
もしかするとジュゼッペはギレンのやっていることを少しは悟っているのかなと思った。

物憂げで、ゆったりとした日々を描きつつも、少しの非日常が加わり色付いていく感じが夜更けから綺麗な朝焼けへと変化していく空の様で印象に残った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未所有(図書館)
感想投稿日 : 2018年2月4日
読了日 : 2018年1月18日
本棚登録日 : 2017年8月16日

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