以前新聞の書評を読んで、「読みたいなー」と思っていたら、今年度から配属になった学校図書館で発見。夏休みに読むことにした。
主人公の黒田慎平が、中学時代の記憶を辿る形の物語。
舞台はおそらく、田園都市線の「たまプラーザ」駅周辺、横浜市青葉区美しが丘と呼ばれるところだろう。
慎平の父親は銀行員で転勤族。
転入生となるのは4回目の慎平は、どうしたら目立たず空気のようにクラスに溶け込めるかを、熟知している。
でも、この学校は一筋縄ではいかなかった。
あからさまなイジメや暴力はないが、「キヨコ」と呼ばれる美少女1人を完全な「無視」のターゲットにしている。
「キヨコ」にある「影」が気になり、彼女のことを知りたいと思うようになる慎平。
そんな折、慎平とは違いゴルフが趣味のキラキライケメン転校生、高野三四郎がクラスに加わる。
クラスのルールに縛られずに「キヨコ」に関わる高野と、ルールの及ばない場所で「キヨコ」とコンタクトをとろうとする慎平。
3人の微妙で不思議な友情と恋のバランス。
3人それぞれが抱える家庭のバックグラウンド。
なかなか読み応えがあったが、主人公たちが中2ということは、読み手を中学生と考えていないこともないのだろうなぁ…
大人たちは言う。教室の中のことしか知らないのが子供の弱点だ、と。でも僕たちは教室の中のことだけなら大人よりもずっと深く知っている。p210
学校は怖い世界だ。綱渡りのように危うい。足の指一本の動かし方で、ちょっとした風向きまでまっ逆さま。p215
など、中学という窮屈な世界を見事に表現しているのだが、主人公たち3人それぞれの背景がそれぞれに複雑で、物語全体が少し冗長な気もする。
漢字遣いが難しい物もあり、中学生が読むならルビが欲しいなぁ、と思う部分もあった。
2021.8.23
- 感想投稿日 : 2021年8月24日
- 読了日 : 2021年8月23日
- 本棚登録日 : 2018年6月3日
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