在日外国人 法の壁,心の溝 (岩波新書 新赤版1429)

  • 岩波書店 (2013年5月21日発売)
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感想 : 19

この本、随分前に神田の古本屋で見つけて買って読み始めてたのだが、第三版が既に出ていることを知り、「新しい物が出てるんなら、これはもう古い情報だからなぁ~」と思って読むのを止めたんだった。統計が出てたり、近年、外国人に対する処遇(外登法廃止、住基法適用)が変わったので、新しいのが読みたかったんだよね。で、遅ればせながら、図書館で借りて読んだ。

あーもう、この本、読むのつらかったです。つらかったというか、この本は別にそういう類の本じゃなく、ただ、今まで国が行ってきた外国人政策について淡々と延べてある本なんだけど、もういやになるくらいだった。以前読んだ「ヘイト・スピーチの法的研究」の第1章に「上からの外国人差別」について述べてあったが、これがまさに「上からの差別」についての本だった。

日本という国は、外国人を人間扱いしてない。外国人のみならず、日本以外の国に住んでる日本人も切り捨ててる。それがものすごくはっきり書いてある本だった。日本以外に住んでいる日本人に対しては「住んでいる国で面倒を見てもらって下さい」と言い、日本に住んでいる外国人に対しては「あなたが来た国で面倒見てもらって下さい」と言う。全く国としての責任を取っていない。国としてやるべきことをやっていない。日本は日本に住んでいる、日本人だけの国なのだ。外国人は、日本に利益をもたらす「のみ」の存在で、彼らが日本で生きていく、暮らしていくための人権なんか、全く考えてない。考えてないどころか、まったく拒絶している。


それでも、'90年代から2000年代に掛けては国際情勢にも合わせ、少しずつは開放されてきた。が、ここ数年また逆戻り。逆戻りするどころかどんどん悪化している。

どうすればいいんだろうね。。なんかもう「外国人参政権」なんて権利獲得の話が出たのは夢のような昔のことで、今は口に出して言うことすら憚られるような状態で、今は世間から攻撃されることへの抵抗(権利侵害への抵抗)しかできてない感じがする。日本には、最低限礼儀として(こういうのは別に礼儀とか関係ないのだけど)「他国に住んでいる日本人がそこで与えられている権利について、せめて日本で暮らしているその国の人の権利を保障しようよ」って言いたい。本当は根本的にこういう考えはおかしいと思うんだけどね。でもそれくらい、日本は閉鎖的だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 在日関係
感想投稿日 : 2014年12月31日
読了日 : 2014年11月28日
本棚登録日 : 2014年11月11日

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