天涯の戦旗 タラス河畔の戦い

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  • 朝日新聞出版 (2011年10月7日発売)
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タラス河畔の戦い~唐の安西節度使である高仙之はキルギット攻略で勇名を馳せたが,降伏したチャーチュ(石国)攻めで宝物を奪い,人民を殺戮した事に副将である李嗣業は納得がいかない。唐の名家出身の杜環は謎を探るべく長安から祖父の命でクチャにやって来たが,李隆基皇帝が大きなルビーを求めたのに国王が差し出さずに処刑され,力ずくで奪う手だてを監軍の辺令誠を通じて命じたことが分かったが,ルビーは未だに行方が知れない。チャーチュの王子,シシュピルは14歳だが国を離れていて無事であったが,アッバース朝の援軍を得て復讐を遂げる積もりだ。サマルカンド太守ズィヤードは喜んで協力を申し出るが,周辺民がどちらに味方するかが微妙だ。高は杜環をカルルクに使いにだし復命させたが,ズィヤードも腹心のアフマドに付き添わせてシシュピル自らカルルクに使いさせた。チャーチュで兵を募っても動き出さない自国民の態度に不甲斐なさを痛感したシシュピルはタラス砦に兵を引き連れて,唐の攻撃を食い止めようとする。1日は保ったものの,2日目は怪しいと踏んだシシュピルは志願の46名の決死隊と唐の陣地に突撃し,必死に戦った後に絶命する。王の死に奮起したタラス砦は,2日目も凌ぎ,ズィヤード率いるアッバース軍と唐が対峙する。互いの堅陣に突き入る隙が見えないまま,正面突破を図ろうとする李嗣業の出陣前に杜環は訪れ,宝物庫に入ってルビーを持ち出したのはあなただろうと詰め寄る。潔くルビーを杜環に手渡した李嗣業は,自分が高に話すまで待ってくれと頼んで,出陣していく。攻める唐軍に,守るアッバース朝の膠着状態に,満を持して李嗣業が正面突破を図るが,唐軍についたはずのカルルクは後方から唐の本陣を攻め,李嗣業も高仙之を救うため,引き上げざるを得ず,唐は敗走し,杜環は降伏してルビーを投げ上げたが,何も起こるはずはなかった~紙漉職人は馬と槍を扱うことに長けていた杜環の従者の劉昇でしたという話。勝敗を分けたのは復讐を誓った健気な少年の戦死に同情した遊牧民の動きであった。高仙之は安史の乱の討伐軍を率いたが監軍の讒言で処刑され,李嗣業は安西に留まったが矢傷が元で戦死,杜環は安史の乱鎮圧後,船で広州に帰着する

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2011年12月6日
読了日 : 2011年12月6日
本棚登録日 : 2011年12月6日

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