パロール・ジュレと紙屑の都

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010年3月27日発売)
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本棚登録 : 546
感想 : 48
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ペースが出てくるまで大変,読みにくい~別離後の世界で噂になっている凍る言葉・パロール・ジュレの謎を探るべく,本の中に潜り込める特集能力を持つフィッシュはキノフに潜入した。タクシードライバーからヒントを得,薬種商・カジバと呼ばれる男と辿り,移動写真家からは水晶の眼を持つ女性の話を仕入れる。自分を見張る眼に気が付いて,古書肆で手に入れた烏口職人の記録に入り込み,その人生を手に入れる。ロイドは町の刑事で解凍士4人と定期的に会合を持っている。デムズ爆発事件の被害者の意識は永遠に続く地下通路のビアホールで鮭皮のチョッキを着てスモークサーモンを口に入れる時に甦ってきた。2度目に訪れたホールのウェイトレスは水晶の瞳を持つアマンダンのレンという女性を一緒に追おうと誘われる。ウェイトレスはココノツという名で娼館の在処を知っているという。ロイドは某国から潜入してくるフィッシュ達を密かに尊重しており,手の者を使って巧く誘導し,パロール・ジュレの神秘を神秘として保持することに腐心しているのだが,ココノツはレンの手に落ちて,コントロールを失ったかも知れない。血管地下街で明かされたココノツの正体は,第七番目のフィッシュであった。終わりにしよう・と喋り出したココノツは,レンの本名がヘレンで,幼馴染みで恋人のアルフレッドこそが最初に言葉を凍らした人物で,それ故に命を狙われ,片眼を失ったヘレンが入れている義眼はアルフレッドの凍らせた言葉を樹脂で固めたもので,最近肺病で亡くなって手許に持っているのだ明かした。アルフレッドとは刑事として戻ってきたロイドである~こんな不思議な本があったらいいなあという思いが込められているのだろう。本を構成するのは紙と文字と汚れ・破れと紙魚。本好きは紙魚になるのが最後の夢か,人が作らないような本をプロデュースすることが目下の仕事ということかな。読みにくい本であって,ギブアップ直前まで行ったときに,読む本がなくなって仕方なく読むことができた。返さなくて良かった。頑張って読んだ自分に☆4つ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2011年7月9日
読了日 : 2011年7月9日
本棚登録日 : 2011年7月9日

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