もうすぐいなくなります:絶滅の生物学

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  • 新潮社 (2019年7月16日発売)
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なかなか捻くれた先生だ~種の絶滅とは何か。何度か大量絶滅した地球の歴史。今絶滅が懸念されている動物は沢山いるが、孤島の固有種は次々と消えている。有名なのはジャイアントパンダとか、トキかも知れないけど、トキの羽毛にだけ付くダニだって絶滅種だ。環境省は、中国から取り寄せたトキを人工繁殖させて喜んでいるが、ニホンザルとタイワンザルのハイブリットはお断りの様子で、どこに基準があるのかわからない。そもそも人間自体がホモサピエンスの女とネアンデルタール人の男のハイブリットであるから今生き残っているのであって,交雑が悪いと一概には言えない。無脊椎動物まで広げなくても、すべての生物は最初の原始生物から引き継がれているわけで、系統が途絶えたわけではない。ニホンオオカミが絶滅して生態系が損なわれているなら、欧州のハイイロオオカミを導入しても「外来種」にはならないのではないか。絶滅しそうな種を養殖で増やすと犯罪になるのも変な話で、京都鴨川に生息して繁殖しているニホンオオサンショウウオとチュウゴクオオサンショウウオのハイブリットも存在し、純系を保とうとすれば水族館で繁殖するしかない。クロマグロも絶滅危惧種で今はサバにマグロの始原生殖細胞を移植して卵を産ませる養殖に成功している。ニホンウナギも産卵までは成功しているが、養魚にマリンスノウを餌として与えるのが巧くいっていない。フグの毒はテトロドトキシンの入っているバクテリアやプランクトンを池に入れないようにすれば解決できるが、フグ調理師有資格者の反対で実現できていない。トキソプラズマという寄生性原生生物は猫の腸だけで繁殖するため、ネズミの脳に作用して明るい場所に出させてネコに食べさせているらしく、トキソプラズマに感染した世界人口の三分の一は恐怖感や不安感が鈍くなり、交通事故を起こしやすくなる傾向を持つ。高速道路で無茶な運転をする人も…、斯様に食物連鎖は複雑で、我々は百兆ほどの腸内細菌に操られているかもしれない。生き延びる手段は多種多様だってことだ~1947年生まれの理学博士。面白い視点だよね。警告だけを発しているわけでなく、科学的に見て主張が可笑しいところを突いてくる

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年11月28日
読了日 : 2019年11月28日
本棚登録日 : 2019年11月28日

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