死の海を泳いで: スーザン・ソンタグ最期の日々

  • 岩波書店 (2009年3月24日発売)
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本棚登録 : 56
感想 : 6
3

強靭な意志によってみずからの道を切り開いてきたソンタグ。
そんな彼女にとって、死は何よりも受け入れ難いものだった。
病の宣告を受けたソンタグは、
生き残るため、死にものぐるいの努力に、
息子デイヴィド・リーフや友人たちを巻き込んでいく。
リーフは母の望みどおり、あえて「大丈夫だ」と言い続けることを選択する。

不思議な本だとおもう。
この本にはソンタグの闘病がこまかく書かれていない。
彼女の人生についての新しい情報も少ない。
かとおもえば、同じくだりが何度も書かれ、
話が前後したりもするので、最初は非常に読みづらい。
だが、リーフの文章に生じた静かな「混乱」が、
母への深すぎる愛と、
強烈な個性をうしなった戸惑いを、なにより雄弁に語っているようにも感じられる。

※著者リーフはソンタグが10代で産み、
「最高の友だち」と呼んだ愛息子。ソンタグの著作の編集も行った。
ソンタグ晩年のパートナー、写真家アニー・リーボヴィッツが
人工授精で女児を産んだときには
(ソンタグの遺伝子を嗣ぐ)リーフが精子を提供したのではないか
というウワサが流れたが、のちに否定されている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 自伝・伝記
感想投稿日 : 2011年2月23日
読了日 : 2011年2月22日
本棚登録日 : 2010年12月19日

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