燃える闘魂

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本棚登録 : 450
レビュー : 60
著者 :
rosenkavalierさん 経営   読み終わった 

本書を読了して、経営者には、誰にも負けない強い熱意と普遍的な哲学とが必要であることを改めて感じた。ただし、それは必ずしも「きれいごと」の世界で終わる話ではない。71頁にあるとおり、『経営も「心理学」である』組織は構成員がベクトルをそろえて行動を起こさないと総合力を発揮できないが、人は論理だけでは絶対に動かない。人を動かすための手段として「熱意」と「哲学」が必要であり、筆者にとっての普遍的哲学が、仏教をベースにした「徳」の思想だったということである。

だから筆者が、JALの経営再建を請け負った際、「無報酬」で引き受け、従業員のベクトルをそろえる為に、徹底的に社員の意識改革を行ったことは、正しかった。JALという組織の問題点は、分業化が進んだことによる一体感の欠如と、責任感の欠如だった。つまり社員の統合ができていなかったということである。これでは経営環境の変化が少ないときにはまだ機能するかもしれないが、経営破綻のような有事の際には対応できない。そこでピンチをチャンスに変え、逆境から力を引き出すために、経営者が「熱意」を見せ、かつ全社員で共有できる高邁かつ普遍的な「哲学」を掲げ、社員の統合を進めたのだ。人間の本質を鋭く見抜いたうえでの、極めてクレバーな戦略である。

また、第6章「日本再生」では、日本人はコンセプトワークやシステム思考的な苦手であり、高付加価値型のものづくりに特化することが日本再生への道だと説いているが、これは、唯一神教を信仰し無意識のうちにトップダウン・ヒエラルヒー・契約重視に慣れている欧米的マインドと、神が遍在し、ボトムアップ・平等・慣習重視に慣れている(だから「すり合わせ」型のものづくりに向いている)日本的マインドの違いを良く見抜いたうえでの指摘で、傾聴に値する。日本人はものづくりに魂を込めている、というのは、日本人は絶対的な神を持たないので、仕事のなかに拠りどころ(=神)を見出しているということである。

経営の要諦を学ぶことができると同時に、稲盛氏の類まれな慧眼を窺うことのできる素晴らしい本である。

レビュー投稿日
2014年4月13日
読了日
2014年4月13日
本棚登録日
2014年4月13日
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