久しぶりの雫井さん。テーマは重い。…うーん考えさせられます。でも結論は出ない。
終盤で一つの結論が出たとき思わず涙してしまいました。や、こういう作品で涙が出るとは思わなかった。しかしたとえフィクションであっても人の生き死にというのは大変重いものなのだということを今更改めて感じましたね。
立場で真逆になる世間の扱い。
以前「加害者家族」というルポを読んだことを思い出しました。確かに被害者家族の悲しみと怒りの深さ、喪失感や虚無感などと比較すべくもないのですが、加害者家族という存在は自らは無罪であるにもかかわらず世間からは抹殺され、決して目立たず大きな声も世間に向けて出さずただ生きるためだけに生きることを余儀なくされる、場合によってはそれさえも許されなくなるという苛烈さを、その一冊で知ったのでした。そのことを思い出しました。
主人公一家の「救い」はあまりにむごい。
いや本当の意味では救われていないのだと思いますが、事件が起きてしまったらもう、どうだったらよかったのかというのは意味をなさないものなのかもしれません。
読後タイトルを見返すと一段と重みを感じます。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2017年1月16日
- 読了日 : 2017年1月7日
- 本棚登録日 : 2017年1月7日
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