何となくタイトルが気になっていたのですが、先日河野さんが亡くなられたのを知って、今が機会だとやっと手に取りました。
山田詠美さんの最近の作品の感想を先日書いたのですが、その作品を書かれる直前に山田さんと河野さんが対談をされていた、ということを知り何となくやっぱり今が読むタイミングだな、と思いました。
作家同士の繋がりを考えながら読むというのも乙です。
「秘事」とは何なのか。多分手に取られる方はそれが気になって手に取られるでしょう。何が秘事なのかはかなり早い段階で明かされますが、その秘事を知らせるはずの相手にそれを知らせるのか、いつ知らせるのか、がポイントになっているのでしょう。
話自体はある一組の夫婦の人生が出逢いから別れまで過去や現在やある人生のひと時を行きつ戻りつ語って行くだけなのです。たぶんこういう小説に慣れているかどうかで評価が分かれるでしょうね。
今は比較的テンポが良く展開の速いエンターテイメント性の高い小説が好まれますから、こういうじっくりと読みすすめるような話は若い人には退屈に感じられるかもしれないです。
ラスト数ページに作者の(あるいは主人公の)伝えたかったことがぎゅっと詰まっています。この数ページを書くためにこの話はずっと紡がれてきたのだなということが最後にわかります。心に静かに染みますね。
味わい深い良い小説です。…しかし読まれた皆さんの意見も聞いてみたいところ。このような夫にはなかなか巡りあえないでしょうね(笑)
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2015年5月4日
- 読了日 : 2015年4月30日
- 本棚登録日 : 2015年5月4日
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