近頃活躍中の「自粛警察」の人たちの心理状態を知りたい、と思い帯を見て図書館にて借受。
コロナ禍における自粛警察にももちろん触れてはいますがメインは、ISをはじめとしたテロリストを生む要因ときっかけ(トリガー)についての解析でした。日本人として生まれ日本でしか暮らしたことのない人間にとっては頭で理解はできても、おそらくそれも現実にはほど遠い程度であろうと思い知らされるような内容でした。
それでも何故「自爆テロ」に子供が利用されることが多いのか、他国の若い青年たちがテロに魅了され取り込まれていくのかということが本書を読むとそこから遠くにいる自分のような日本人にもわかります。
被害者意識は物の見方を変えそれにより復讐の意思がより強く認識されるとモラルの抵抗感がなくなる、というのは大変分かりやすい解説でした。
また、自分の愛着を抱いているものの一部でも攻撃を受けたなら、それが何であってもどんな事柄であっても自分のアイデンティティーが侵害されたと人々は感じるものだというのも、普通に暮らしていても日常的に人間関係の中ではそのくらいのことは起きますからよく理解できます。
最後のほうの章にストレス対処のための自分のメカニズムを意識するための質問表があるのですが、これが結構役立ちそうです。
今企業ではストレスチェックなどを行っているところも増えつつありますが、実際はチェックするだけでどのように対処したらいいのかまで個人としての対処法を具体的には教えてくれないことが多いように感じます。(企業の相談窓口やカウンセラーの紹介などそれまで関わっていない人との関わりで行う対処がメイン)そういうところに出向くこと自体が重い人もいるだろうに、と思っているので本書にあるような「BASIC ph」の質問表は自分で自分を客観視するいいきっかけにできるのでは、と感じました。
知りたかったこととは実はちょっと違う内容でしたし誰にでも必要と言う本でもないですが、普段意識しない視点に気づかされる一冊でした。
- 感想投稿日 : 2020年11月18日
- 読了日 : 2020年11月18日
- 本棚登録日 : 2020年11月18日
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