個人的には、自分の生涯で、このアルバム以上の存在には出会いたくないですし、出てきて欲しくない。それくらい、本当に好きな、大切なアルバムです。自分の棺桶に入れるアルバム、墓場まで持っていくであろうアルバムは、やっぱこれしかないかなあ~と思うのです。
このアルバムのリリースが、1997年の1月29日。B'Zのアルバムリリース時期としては、1995年の「LOOSE」と1997年11月の「SURVIVE」の間に、この初ソロ作品がリリースされているのか。あの時期のB'Zは、間違いなく日本のロックシーンの頂点にいたと思うのですが、その、バンド(というか、ユニット)として乗りに乗っていた時期に平行して、これほどに素晴らしいソロアルバムを製作・発売していた、ということが、まず、凄すぎだと思う次第。
内容としては、とにかく、暗い。圧倒的に暗い。絶望的だし、やけっぱちだし、切ないし、もうね、こんなアルバムが、シングル曲なし。タイアップ曲なし。それでいてミリオンセラーを売った。それが、当時のB'Zの、圧倒的な凄さをなによりも雄弁に物語る事実ではないでしょうか。だって、どう考えても、万人受けするアルバムじゃないもんなあ、、、暗すぎでしょ、だって。
あの男前極まりない、歌は上手すぎ、人格者すぎ、な稲葉さんなのに。なんでここまで、ダメ人間、ダメ男の心情を表現できるのだろうなあ。表現しようと思ったのだろうなあ。それがもうね、意外ですね。だって稲葉さん、このアルバムで表現した、人間としての男としてのダメさとは、一切縁のない人間に見えるし。
でもしかし。このアルバムで稲葉さんが歌っている曲のリアルさ、切実さには、うそ偽りのかけらもないように、僕は聴くのです感じるのです。ポーズや演出ではなく、稲葉さん自身が、リアルに真実に、こう思っているし、こう歌わざるを得ない、歌詞を書かざるをえない、そんな気がするのです。
ほんとうになあ、こんなアルバムを、こんな曲たちを生み出すことができたら、そして世の中に受け入れられることができたら、どんなにか素敵なことか。そういう意味では、奇跡的な一枚だし、どれほどに絶望を歌っても、どうしても希望を感じてしまう信じてしまう一枚。本当に大切なアルバムです。
最も大好きな一曲は「Soul Station」です。これ以上の自己表現はないであろうと思われる一曲です。
- 感想投稿日 : 2016年3月16日
- 読了日 : 2016年3月16日
- 本棚登録日 : 2016年3月16日
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