草祭 (新潮文庫)

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本棚登録 : 853
レビュー : 110
著者 :
R_endooさん  未設定  読み終わった 

「美奥」という町を舞台に五編の不思議な物語を紡いだ連作短編集。ほっこりする話からおどろおどろしい話まで様々。筆致は淡々と、どこか郷愁漂い優しく、幻想的で、そして怖さも併せもった不思議な雰囲気の傑作。
どれも好きだけど特に好みは『屋根猩猩』『天化の宿』かな。

『けものはら』
失踪した高校生の友人は〈けものはら〉で獣へと変貌していく。それを見守りながら、彼の語る母親の確執を聞く主人公。悲しいホラー。
『屋根猩猩』
高校でいじめられている少女は、屋根猩猩に憑かれた不思議な少年と出会う。屋根猩猩に憑かれたら自他共に認める町の守り神として行動し、それは受け継がれていく。ほのぼのストーリーだけどよく考えるとこれ怖いよね。すごい好きだけど。話のまとまりも一番よい。
『くさのゆめがたり』
悲しい美奥の過去。山で育てられ、叔父から薬や毒の作り方を学んだ少年はやがて里で過暮らし始める。人とは違う感覚で生きる少年は何を為してしまうのか。重い話なのに読後感が清涼な不思議。
『天化の宿』
「苦解き」のために「天化」という不思議なカードゲームにのめり込んでいく少女。「天化」で見る不思議な光景。彼女の苦とは。童話のような怪談のような。ラストが爽快で印象的。館の親分たちは何者なんでしょうね。
『朝の朧町』
ガラス玉の中に作ったという不思議な町に連れて行かれて。生々しい現実と比べ、そこは居心地のいい場所で。
最後の二編が、現実に立ち向かい生きていく結末で前向きな印象。
抗えないものに翻弄されながらも皆それぞれたくましく生きていく。

レビュー投稿日
2015年1月12日
読了日
2014年11月15日
本棚登録日
2014年11月12日
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