採薬使佐平次 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2015年10月24日発売)
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本棚登録 : 36
感想 : 6
3

設定は面白いが、内容は平凡。

序盤、採薬使の佐平次がごく自然に同心の手伝いをしていることの違和感があった。中盤でようやく御庭番的役割を担っていることの説明があったが遅い。トビイロウンカを使ったテロというテーマは非常に面白く、享保の大飢饉の実態や政治的思惑など興味深い点は多かった。

採薬使らの学者としての存在感も薄かった。ビードロの解明は理系であれば思いつくであろうし、今回の鍵となるウンカも植物に寄生するとはいえ虫であり、植物学者だから解決できたという展開を期待しただけに消化不良。採薬使全員が武芸者なのも違和感。文武、性格ともに完璧な主人公はやはり魅力に欠けると改めて感じた。やはりどこか不完全な部分があり、それを周囲に支えてもらう方が人間味があって感情移入できる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年2月23日
読了日 : 2024年2月21日
本棚登録日 : 2024年2月22日

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