民藝とは何か (講談社学術文庫)

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レビュー : 21
著者 :
ryoichickさん  未設定  読み終わった 

・なんで読んだか?
アートについて深める一冊。

・つぎはどうする?
ぶるーおすすめの「日本の手仕事」を読む。柳宗悦と彼の民藝論についてもっと理解したい。

・メモ
民藝の美しさ。その美しさをつくるもの、その美しさが意味するものについて。その美しさは農にもバッチリ関連する。

ふだん使いするもの、誰でも日々用いるもの、毎日の衣食住に直接必要な品々、それが民藝品

姿は質素であり頑丈、形も模様も単純。つくるときの状態も極めて無心になる。材料も天然物であり、その土地の物質。目的も実用品で、日々の生活に必要なもの
貴族的なものは真逆
作りては職人と芸術家にわかれる。

『なぜ特別な品物よりもかえって普通の品物にかくも豊かな美が現れてくるか。それは一つに作る折の心の状態の差異によると云わなければなりません。前者の有想よりも後者の無想が、より清らかな境地にあるからです。意識よりも無心が、さらに深いものを含むからです。

主我の念よりも忘我の方が、より深い基礎になるからです。在銘よりも無銘の方が、より安らかな境地にあるからです。作為よりも必然が、一層厚く美を保証するからです。個性よりも伝統が、より大きな根拠と云えるからです。人智は賢くとも、より賢い叡智が自然に潜むからです。人知に守られる富貴な品より、自然に守られる民藝品の方に、より確かさがあることに何の不思議もないわけです。華美よりも質素が、さらに慕わしい徳なのです。身を飾るものよりも、働くものの方が常に健康なのです。錯雑さよりも単純なものの方が、より誠実な姿なのです。華やかさよりも渋さの方が、さらに深い美となってきます。なぜ民藝品が「美しい民藝品」となる運命を受けるか、そこには極めて必然な由来があると云わねばなりません。

美への認識はすべて直感であり、直感において観ることは思うことよりも先である。

美のためにつくられたものが、用のためにつくられたものよりも美しかったことはない

用を忘れて美だけを求めるとき、それは「美術品」になっても「工藝」にはなりえない。用美一如である。

平常心の自然さから美しさが生まれる。民藝品の美は生まれる美であり、つくられる美ではない。

工藝美は社会美であり、工藝の問題は人類の道徳の問題である。ラスカルはいった、美は道徳である、と。
商業主義では美しい品はうまれない。利を第一とせず、用を第一とし、ギルドという組合で結びついた人間がつくるもの。個人個人の作品ではなく、統一ある一時代の作品であり、一民族の作品である

民藝館では、それが上等のものか普通のものかにこだわっていない、それが美しいかどうかだけを見ている

美術品、fine artが、純粋藝術、pure artと実用品、practical artになった。
モリス(william morris)以降、造形美は美術と工藝 arts and craftsになり、藝術家artistに対し、職人あrtisanになった。
藝術ばかりが評価されてきた。近世の作品の基礎は、①個人の上に成り立つ。自己の表現をおいて深い美はない。②自由を出発点とする。一切の拘束から開放されずして真の美はない。③純粋に美を追えば追うほど、その作品は藝術度を増す。実用性からの離脱を伴う。しかし、個人的なものよりも超個人的なものにもっと大きな深い美があるのではないか。近世の美術には異常なものも多く、虚無的なもの、悪魔的なもの、醜悪なものにさえ美の対象を求めた。美の世界の自由主義は多くの秩序を破壊した。そして、美は人間の生活そのものを深め温める日々の伴侶であった。

民藝の美は、①実用性。美が用途と結合し、生活に即して生まれてくる。美を健全にする。茶道は「生活の美学。」②多量につくられ廉価であること。美しいものをたくさん安くつくることが必要。社会的、経済的に満足させるもの。③平常性。常態の美。何か変わったものを求めると、異常なものや病的なものに美を見出そうとしてしまう。民藝はnormal artであり、natural artである。最も自然な状態にある美が一番美しい。④健康性。最も多く社会の幸福を約束するものでないといけない。民藝品は一番の働き手であり、健康的でないといけない。⑤単純性。質素であり簡単であること。単純美。⑥協力性。近世では他の誰にもできないような仕事であってこそ個性の表現とされ作者の名を誇っていた。民藝では名乗らない。作者の不浄な野心や欲望を拭い去り、無心な清浄なものにしてくれる。大勢の人の協力の仕事である。民藝品は、各々持ち場があり、協力して仕事が完成される。個人で美を生むのではなく、大勢で協力して美を生むことが大切。個人の名誉より全体の名誉を重んじるべき。⑦国民性。民藝は国民の生活を反映するから、国民性が最も鮮やかに示される。民藝は地方的工藝に依存する。地方にこそ特殊な材料の所有者であり、独特な伝統の保持者であるから。国民的伝統の上にこそ、強固な国民的美が発露される。国民的な作品ほど普遍的要素を含むものはない。国民的なものは、どこの国のものとも並在し調和する国際性をもっている。国家的なるものをお互いに尊敬しあうことで、将来の世界の平和がある。民藝の美学は私にかかる新年を呼び起こしてくれる。

レビュー投稿日
2019年2月3日
読了日
2019年2月3日
本棚登録日
2019年2月3日
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