天下騒乱 鍵屋ノ辻(上) (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店 (2005年11月25日発売)
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将軍職は秀忠に譲るがそちには幕府を与えよう。揺がぬ天下を築け―大御所家康が死の床で宰相・土井利勝に遺したのは意外な言葉であった。しかし十数年後、一浪人の刃傷沙汰が招いた仇討に、天下は不穏な動きを見せる。幕府の行った処遇に不満を抱く旗本一統と外様大名が、この事件を巡って激しい暗闘を開始したのだ。家康の遺命を奉じる利勝は、騒乱の芽を摘み取るべく、敢えて「悪」をなすことを決意する。
「鍵屋ノ辻」という言葉だけは聞き知っていたものの、その詳細を知らずにいたのだが、この作品を読んで、その全貌を知ることが出来た。
300年の太平の世を築いた徳川幕府。しかしその成立直後においては、その後の太平が予想も出来ないほど各地に火種を孕んでいた。それは取りも直さず外様大名たちの動向が主たる火種であったが、それ以外にもさまざまな火種を宿していたことは否めない。
その火種の一つとして、鍵屋ノ辻に至る一連の事件があったのだ。
池宮彰一郎は時代小説家としては私の好きな作家の1人だが、そのスピーディな筆致は本作品でも遺憾なく発揮されていた。上下巻なので、作品としては長編だが、読み進んでいくうちに、どんどん作品世界に引き込まれ、よりいっそう臨場感を味わえる。
時代小説ファンならば、一読してしかるべき名作だろうと思う。

2005年11月/角川書店/角川文庫

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2010年11月5日
読了日 : -
本棚登録日 : 2010年11月5日

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