いのちの食べかた [DVD]

監督 : ニコラウス・ゲイハルター 
  • 紀伊國屋書店
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豚の悲鳴や鳥の鳴き声、機械の無機質な音だけで構成されている。

彼らは動物を「モノ」として扱う。鳥をコンテナに詰めたり、牛の横腹に穴を開けて子どもを取り出したり、豚の親を固定して子に乳を飲ませたり。そのやり方はあまりにも残酷で、あまりにも整然としている。

豚の手を淡々と落とすシーンが、心に深く刺さった。作業している女性の顔を思わず見つめる…顔色ひとつ、変わらなかった。彼女もまた、豚を食べて生きているのだ。

人は生きるために、他の生き物を食べるようになった。人が増えて、脳が発達して、農業を始めた。
今や、なんて華麗に生き物を管理しているのだろう。工場では、人さえも機械の一部と化しているようだ。

いのちをいただいて生きているということは、当たり前過ぎて普段なかなか気が付かない。
でも現実はこういうこと。そして、既に私たちにとって無くてはならないシステム。

その肉の、野菜の、牛乳の値段は、機械の手間の分の値段。

これから私は「アメリカ産」も「ドイツ産」も「日本産」も、全て「機械産」だと思ってお肉を買うことにする。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 濃い。
感想投稿日 : 2012年10月11日
読了日 : 2012年10月10日
本棚登録日 : 2012年10月10日

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