透きとおった悪

3.69
  • (4)
  • (3)
  • (9)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 56
レビュー : 7
制作 : 塚原 史 
ryuzoin2さん  未設定  読み終わった 

画材の限界はあるでしょうけれども
画家は色に向かうのだと思います
詩人がことばに向かうように

ヨク保存されたレンブラントや
ルーベンスの天才に触れたのは芸大美術館の薄闇の中です
もう 弱い蛍光灯の光にも当てたくない気分なんでしょうね

ルーベンスの細密な蜘蛛や蜥蜴の絵でした
ひと目でこれは異様な
オレなんか猿の一種で早く自分を隔離しなきゃいけないんだ
そういって逃げたくなるような強烈さでした

ルーベンスを見ることに命をかけた少年ネルロ
フランダースの犬の話はこのとき正しいリアリティで私に響きました

名のみ知ってチャント向い合えていなかったレンブラントも
このとき初めて会いました
本を読む少年 タッタ一枚だけでしたが
その後見たレンブラントとその工房展より強烈でした

画家は何を見ているのでしょう
対象を透徹してみるとかいうけれども
どういうことでしょうか

公園になった元正田邸を両陛下が訪れた映像をみたとき
美智子皇后が地面でなく 空ばかり見上げるのが印象的だった
もはやなくなった場所ではなくて
そこから見た変わらぬ空を思い出しておられるのだ という
印象でした

そこから見る
時間の重なりを見る
今いる自分と もう無くなった多くの時間を重ねていく
そのときそのとき感じている全てが
大事な芸術なのではないでしょうか

レビュー投稿日
2011年7月22日
読了日
-
本棚登録日
2011年7月22日
0
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『透きとおった悪』のレビューをもっとみる

ツイートする