蒼い時 (集英社文庫)

  • 集英社 (1981年4月20日発売)
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感想 : 91
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引退して30年以上たち、週刊誌に朝のゴミ出し中のぶっくり太った姿が晒されてもなお復活を望まれる人ってどんな人なんだろう、ただのアイドルじゃあるまい、という興味から、彼女が自分自身について綴ったこの本に食いついたのでした。

引退後、第二の百恵を狙ったアイドルはいっぱいいたと思う。でも結果的に彼女たちが近づけば近づこうほうとするほど百恵のレベルの高さを際立たせるだけでした。本音を殺し仮面をつけて必死に大衆に媚びるアイドル達は健気さが評価されることが多い。でも百恵という人は大衆に対し真摯な態度であっても媚びてはいなかった。不良っぽさと清潔感という異なる要素を問題なく完璧に両立させることができた稀有な人。既に人生哲学が完成されていたのかもしれない。この本で彼女のぶれない生き方に触れると、小手先ではマネできない彼女の色気は生き方そのもだったとわかります。

本の中で今の旦那さんに対する想いがすごく丁寧に語られていますが、一人の男性に対する真面目で素直な態度がかわいらしい。でも二十歳そこそこの彼女の決意は女性としてというより人としてのレベルが高い。めちゃくちゃ大人です。同じ年齢だった自分を思い出すと幼すぎてガッカリすることといったら。今の自分でさえまだまだ当時の彼女が大人に見えるなんて、、。

百恵も最強だけど、彼女が惚れた三浦友和って実はもっとすごい人だったのかもしれません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2012年7月20日
読了日 : 2012年7月20日
本棚登録日 : 2012年7月20日

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