『AX』に引用された「プレオー8の夜明け」を収録。第二次大戦前から南方戦線の兵士として派遣された著者だが、当時の国内の雰囲気に流されることなく、戦争に対して醒めた視線を持ち続けられたのがすごい。幹部候補落第生、虚弱、下級兵士であったことが功を奏したか、最前線に送り込まれることなく戦争から生還。南方戦線の悲惨さ、日本軍の暴虐、従軍慰安婦の姿を、冷静な筆致で描く。1969年「墓地で」から95年「真吾の恋人」までの23編は、エッセイが3/4の割合だが、このような戦争体験を読むのは初めてで、とても良かった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説(邦国)
- 感想投稿日 : 2024年6月8日
- 読了日 : 2024年6月8日
- 本棚登録日 : 2024年6月8日
みんなの感想をみる