開口閉口 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1979年12月27日発売)
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感想 : 12
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今週、バンコクからシンガポールに出張に行ったのであるが、バンコクのスワンナプーム空港でも、シンガポールのチャンギ空港でも、入国のイミグレーションのあたりに、マスクをした人たちがサーモメーター(って言うんだっけ?)で、これから入国しようとする人たちを観察していた。例の豚インフルエンザである。そういう例は見られなかったけれども、熱のある人は精密検査、ということにでもなるのだろう。大変な話ではあるけれども、でも、この事件くらい、世界は狭いというか、密接に関係しているというか、を感じさせるような事件はなかったような気がする。私はバンコク駐在員であるが、毎日(「毎日のように」ではなく、本当に「毎日」)、東京の本社から、本件に対する対応方針みたいのがメールで、それも複数、送られてくる。感染者が発生した国に対してはもちろん、そうでない国であっても海外出張は自粛、とか、駐在国で大流行が起こった場合に備えて水や食料品等を備蓄しておくこと、等々である。駐在員仲間の間では、そもそもウィルスというのは湿度に弱いはずだから、高温多湿の今のバンコクでは、はやるはずがないとか、という、科学的な根拠のない議論をしたりしている。でも、「鳥」はともかく、「豚」に関しては、東京よりもバンコクの方が安全なんではないの?ということで、家族をわざわざバンコクに引き止めたりしている駐在員もいたりする。さて、本書は開高健のエッセイであり、それは素晴らしく面白い本であったのだが、それと先の豚インフルエンザの話は何か関係があるのか。実は、本書「開口閉口」がバンコクに持ってきた開高健の最後の本なのである。来週、日本に帰国することになっていたので、その時に、開高健のまだ読んでいない本を、まとめて買って帰ろうと思っていたのだけれども、出張自粛状態が続くと日本に帰国出来ずに少し困ったことになってしまうのである。個人的には水や食料の備蓄よりも、こちらの備蓄の方が大事だったのだけれども、まぁ、こればかりは仕方がない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2009年5月1日
読了日 : 2009年5月1日
本棚登録日 : 2009年5月1日

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