東西冷戦を背景にしたスパイもの、というのは好きなジャンルの1つだった。その中でも、ジョン・ル・カレと共に、フリーマントルのこのチャーリー・マフィンシリーズは最もお気に入りのものだった。文庫の解説によると、この「片腕をなくした男」は、チャーリー・マフィンシリーズとしては、5年ぶりの作品であるらしい。シリーズの作品は全て読んでいるが、確かに、本屋でこの本を見つけたときには、「えっ、チャーリー・マフィンシリーズってまだやっているんだ」と少し驚いたくらい久しぶりの作品だった。スパイは、冷戦の間の東側陣営と西側陣営の間の対立がよって立つ基盤であり、冷戦の終わった今となっては、もちろん、情報機関というのは今も大きな意味を持つのだろうけれども、小説の題材として使うには、はっきりと難しくなっているのだと思う。この「片腕をなくした男」も、緻密なできばえで、それなりに面白かったのだけれども、シリーズの初期の頃のスケール感から比べると、今ひとつという印象はぬぐえなかった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2010年9月25日
- 読了日 : 2010年9月25日
- 本棚登録日 : 2010年9月25日
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