雲南省スー族におけるVR技術の使用例 (早川書房)

  • 早川書房 (2018年7月20日発売)
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感想 : 10
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 このお話の面白いところは、VRを装着する民族ではなく、『自分の認識している世界』についての基盤が、VRが現実と感じるスー族の研究内容を聞いてるうち、ぐらぐらさせられてくるって事じゃないのかと思う。

 スー族の死者の世界の実存の話と、停電の時の話。個人的には、特に凄く深く突き刺さっています。

 目の前の世界が、このお話を読んでから、妙に不気味に感じられはじめて困りました。

 さらに、平野啓一郎さんの『本心』を読んだ後のせいもあり、VRについて感じるイメージが少し怖いものにも思えてきてて……避けがたい変化になってくんだろう将来に、さらに考えこんでしまった。

 Amazonでは着想に加点されつつも、構想が練れていないという評もあったようですが、素直に楽しめました。現実に可能かどうかとかいう話をしだしたら、SFのすべてを許容する事がまずできないようにも思います。

 2010年代SF傑作選で読んだので、一緒におさめられているアイドルマスターの方はまだ未読。熱量スゴイらしい……愉しみではあります。

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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SFは「少し不思議」で終わらない!
感想投稿日 : 2023年4月29日
読了日 : 2023年4月29日
本棚登録日 : 2023年4月29日

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