sagi93の本棚
横浜だかどこからのよくウソをつく転校生、太郎左衛門。彼に何度も騙された主人公たちだが、最後には切羽詰まった場面では人間ウソはつかない、分かり合えると確信する。話自体より、めくらを演じる太郎の姉から感じられる独特の迫力や、太郎の左右の眼の大きさから全く違う二面性を一人の中に見出す少年の眼力に文才を感じた。
自信が持てない。真面目に生き、ひそかに読書などすらしている。努力し、結果を出している。しかしそれは私に自信を与えるどころか、一層それを奪っていく。
自信が無いことの原因を、社会に転嫁するようなことはしない。この「自信の無さ」に向き合い、卑屈の克服ではなく、卑屈をあるがまま肯定することで、今までにない自己認識・自己肯定・社会の好転等 が得られることを記念している。
読んだときは誌的でステキ、自分の自信の無さもその肯定から発展の土壌になるかと考えたが、意味を考えるにイマイチしっくりこなくなってしまった…
結局、人より少しだけ社会的に成功している自分が自己肯定を持てない自己肯定をするため、または自己肯定を安易にしてしまうような他人を嘲る意図が無いとは言い切れないのではないかな、と思う。
2015年11月16日