俺たちのBL論

  • 河出書房新社 (2016年1月21日発売)
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本棚登録 : 282
感想 : 22
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シンプルなのに過不足ないタイトル。
サンキュータツオさんは以前読んで
(『東京ポッド許可局~文系芸人が行間を、裏を、未来を読む~』)
面白かったので覚えてる。
BL初心者の春日さんに面白さをレクチャーしていくのだけど、
終盤の「男はBLの絡みをどう楽しめばいい?」までいくと
女性では書けない男性ならではの視点が出てきて唸りまくり。
草食男子の内実ってこういうことなのか?と。
萌えは個人的に細分化された世界で、
BLややおいを語っていくと最終的には自分のセクシュアリティにも触れざるをえず、
「これは精神的なもの!」というイイワケを越えて
さらに踏み込んだ先の実感や言葉に圧倒される。
女性の世界を、男性がちゃんと興味を持って好意的にとらえ、
男性の視点で客観的に言葉に置き換えていく文章って本当に面白い。(子育てとか)
BLは知的遊戯。
余白、ちょっとした違い、行間から、
あらゆる可能性を脳内で生み出すクリエイティブな作業。
その視点を導入することで
面白さが倍増する未開の地がまだ山とある。時代劇とか。
「男は丈夫だから安心」というのはけっこう大きなポイント。
この言葉で傷つく人もいるんじゃ、と思いつつ
この前提あればこそ、無茶な状況に放り込んでもエンタメとして楽しめる。
以前三浦しをんの『シュミじゃないんだ』を読んだ時にも
BLの世界の面白さや広さを感じたし、
今回の本でも、BLやおいを読み解き、
偏見や誤解をとっぱらって見えてくる、他ジャンルとの共通性や共感や可能性を知った。
じゃあBL読みますかと言われると、
恋バナを面白がれない、恋愛小説読まない人間なので、たぶん読まない。
絵柄が好みかどうかというのも、漫画である以上、大きな要素だし。
私はこういう評論で十分だったりする。

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カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年12月31日
本棚登録日 : 2017年12月31日

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