彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)

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本棚登録 : 3134
レビュー : 452
sakaiXさん 沼田まほかる   読み終わった 

主人公である北原十和子の視点のみで語られる本作ですが、物語冒頭から同居人の陣治に対してこれでもかといわんばかりの嫌悪感が書き連ねられていきます。あまりの執拗でねっとりした描かれ方に、陣治に対してはもちろんのこと、十和子に対しても読者は不快な印象を抱き、読んでいくのが苦痛に感じられるかもしれません。私もそうでした。
これで安易な終わり方にしたら怒りをぶちまけてやろうと思いつつ、我慢して最後まで読み進めると、、、なるほどそうきましたか。これなら文句なしです。東野圭吾の某作品を思い出しました。さらに再読すると初読時に冗長と感じられた描写全てに意味があったことが分かり、不快だった箇所の印象が一変しました。こういう読書体験はなかなかあることではありません。
本作と『ユリゴコロ』が今年映画化されます。あくまで原作のみの比較ですが、大衆向けのエンタメとして受け入れられ易いのはミステリとして完成度の高い『ユリゴコロ』のほうだと思います。が、水島が十和子と一線を超えるに至るまでの書き込みが不十分だったり、主人公の記憶の改変がややご都合主義であることなどの欠点を踏まえても、読後の余韻の強烈さと、何より作者の意気込みが伝わる本作のほうが私は断然好きです。
いい作品でした。

レビュー投稿日
2017年10月9日
読了日
2017年10月8日
本棚登録日
2017年10月8日
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