いわさきちひろ 子どもへの愛に生きて

著者 :
  • 講談社 (2017年11月1日発売)
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本棚登録 : 46
感想 : 8

いわさきちひろの息子である松本猛による「いわさきちひろ」の評伝。
子育てをした女性や子ども時代に絵本を読んでそこに描かれた「絵」を見たことがない人はほとんどいないのではないだろうか。
優しいタッチ、パステルを多用したかわいい子どもたちの姿など、見ているだけで心が和む絵画である。その絵から想像する作者は優しく、儚げにさえ思えてくる。
しかし作家本人は大正昭和を生き、初めの結婚で満州でも暮らし、その結婚は意にそぐわぬもので傷心で日本に引き揚げてくるという厳しく辛い時代も経験している。
また戦後は共産党に共鳴して、共産党員となりそこで松本善明と知り合い、結婚する。この時代珍しく、年下の夫であり、司法試験勉強のため経済的なこともちひろが支える。
絵のタッチからは想像できない、自立心の強く、自分の意志をしっかり持った人だったのだろう。
評伝というと第三者が書くことが多く、客観的内容がほとんどだが、この著書は息子が手がけたということもあり、家族でしか知り得ないことや息子として母親をどう見ていたか、どのような母であったかなどプライベートな姿も知ることができる。
私自身もとても好きな画家の一人だか、このように波乱に富んだ人生を送った女性であるとは、この著書を読むまで知らなかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年7月11日
読了日 : 2018年7月11日
本棚登録日 : 2018年7月11日

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