マドレンカシリーズの絵本作家ピーター・シスの自伝的絵本である。1949年にチェコスロバキアで生まれた作者は、少年時代を共産主義政府の監視下で過ごす。鉄のカーテンの向こう側で、国家への忠誠を示し、教わったことに何の疑問を持たずに絵を描いていたシス少年は、やがて、教わらないこともあることを知り、ビートルズを知り、プラハの春を迎えるが、さらなる試練を迎えることになる。
青少年時代を悩み、夢を追い続けた絵本の中のシス少年の不安げな表情から、冷戦時代の東欧の少年たちの心情を察することができる。本の装丁は、段ボールに穴を開けた手作り風、表紙の星型の壁の中にいる少年は、監視されていることすら知らないようである。本文に出てくるシス自身の日記は、冷戦時代を知る貴重な資料である。2008年コールデコット・オナーブック受賞。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2018年8月14日
- 読了日 : 2018年8月13日
- 本棚登録日 : 2018年8月14日
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