野原に住む小さな生き物たちの視線になって、美しい自然を満喫できるお話。おひさまホテルでみんなが賑やかに過ごす様子にウキウキする。自然の風景や動物たちの様子を思い描きながら読む楽しさを味わえる作品。まるごと読んであげたい。2年生にどうかな。

2024年12月1日

読書状況 読み終わった [2024年12月1日]
カテゴリ 低_物語

3,500年前の古代ギリシアを背景とした壮大な歴史冒険ファンタジー。「よそ者」とさげすまれながら暮らす12歳の少年ヒュラスが、「よそ者狩り」を行うカラス族の戦士たちから逃亡していく。

神々の存在を信じる人々の振る舞いや、当時の暮らしの様子、険しくも自然豊かな野山や洞窟、海辺で知恵を尽くして生き抜いていくヒュラスたちの姿が鮮やかに思い描けるように書かれている。

現代の子が読めばファンタジーのように感じられるかもしれないけど、当時生きていた人にとってはとてもリアルな世界だったんだろうな。大昔の人の目と心で世界を捉えている感覚になれる。

最初から最後まで、不思議とスリルで読み手を惹きつける。加えて、立場や生育環境の違う3人の子どもたちが、信頼の芽生え、揺らぎ、深まりを感じていく心の機微を描いていて、友情の物語としてもすばらしい。言葉を介さずとも分かり合えるようなイルカとの心の交流も魅力的。

オオカミ族の少年を勧めた5年生の女の子が完読後、次にこのシリーズを読み始め、「先生、これも絶対読んで」と勧めてきたので読んでみた。とても読み応えのある作品だった。

現代の子どもたちの生活とはかけ離れた信仰、暮らしの様子や、少年と少女の絆の深まり、動物との不思議な交流と、オオカミ族の少年とも共通点が多く、オオカミ族が好きな子はこのシリーズもきっと好きになりそう。

ただ、石器時代と青銅器時代を背景にしているところも違うし、キャラクターも全然違う。2つのシリーズの違いを見つけながら読んでいくと楽しそう。

2024年12月1日

読書状況 読み終わった [2024年12月1日]

物語を届けることの価値を深く理解したうえで子どもたちに届けていきたいという思いを深くした。

なぜ「物語」を届けるのかという大きな視点でも、なぜ「この本」を届けるのかという個別具体的な視点でも。おもしろいからとか、子どもが好きそうだからとかじゃなくて、もっと深いところにある価値にもっと目を向けていきたい。

耳からの物語体験の積極的な意味についての記述は、あまりにも速く物語を読み終えている子どもの姿に少し寂しさを感じつつ何もできていなかった自分の心に光を差してくれた。早速、一回の図書の時間では読み終えられないような長めの本の読み聞かせを始めた。ゆっくり、じっくり心と頭を動かしながら物語を味わっている子どもの様子も感じられて、いいかんじ。

2024年11月30日

読書状況 読み終わった [2024年11月30日]

ウィニーは、森で「104歳」の少年と出会う。泉の水の秘密ー不老不死ーを知ったウィニーは、永遠の時を生き続けるタック一家と1日を過ごすうちに、不老不死の喜びや苦悩を感じ取っていく。

冒頭で、ウィニー、タック一家、黄色い服の男の三者のある1日が「同じ日の出来事」として描かれる。全くつながりのなさそうなそれぞれの出来事が、徐々に結びついていく構成が面白かった。

退屈な毎日を送るウィニーが、家出をしてタック家の人々と出会い劇的な1日を送るものの、怖くなったり、家が恋しくなったり、それでもタック家の人々の優しさにふれ大好きになっていったりする感情の揺れも繊細で、読み応えがあった。

何より生と死について、考えざるをえないのがこの物語のいいところ。自分の死が宿命づけられていることを直視するのは少し怖かったけど、永遠の時を「得てしまった」タック家の人々の言葉を聞くと、死という宿命を前向きに捉えていくこともできる。

また、永遠の命を手にしたタック家の人々が、悩みながらも、その命を生かしていこうとしている姿も素敵だった。

全体的に抑えた筆致で描かれていて、静かで、不気味で、ミステリアスな世界観に引き込まれた。情景描写も効果的に用いられていて、子どもたちとそうした部分を味わうミニ・レッスンをやってみるのもいいなと思った。

2024年11月25日

読書状況 読み終わった [2024年11月25日]
カテゴリ 高_物語

内気で臆病な少年ローワンが、大人たちと旅に出て数々の困難を乗り越えていくお話。

誰でもできる仕事とみなされている家畜バクシャーの世話の仕事をいまだに任されていたり、臆病なことをみんなにからかわれてばかりいたりするローワンが、怖がりながらもたくましく冒険をやり遂げようとする姿が心を打つ。

周りの大人たちを見るローワン自身の気持ちも、ローワンを見る大人たちの気持ちも変わっていくのがよかった。特にアランやストロング・ジョンとの心の交わりが美しかったなー。

自分をあわれんでいると思っていたアランのセリフ。「ぼくは、すでにこっけいなピエロだったんだよ! 見た目もちがうし、やせっぽちで、くつもはかなければ、村のしきたりも全然わからない〈旅の人〉の子どもだったんだよ! 十歳のぼくは、いつもみんなにからかわれていた。それがどんなにつらいものか、ローワン、きみならわかってくれるはずだ。」P156 アランがローワンのよき理解者だったことがローワンに伝わる場面は美しかった。

自分を嫌っていると思っていたジョンのセリフ。
「怖がりながら、きみは山を登った。怖がりながら、きみは危険に立ちむかった。そして、怖がりながら先へと進むんだ。それが本当の勇気なんだよ、ローワン。怖がらないのは、おろか者だけさ。」P185
このとき、ジョンはローワンの勇気を全面に認めてくれた。

また、ローワンがジョンに「だいじょうぶなの、ジョン?」と声をかけたとき、旅のはじまりで同じように声をかけてくれたジョンの言葉が思い浮かぶシーンも印象的だった。ローワンはジョンが初めから自分を思いやってくれていたのではないかと気づく。ローワン自身も、旅の中で人を信頼していくことができるようになっていくのが素敵なところ。

家畜のバクシャーたちのことを愛し、バクシャーたちにも心から慕われているローワンも魅力的で、物語の初めではそれがローワンの、誰からも認められていないいちばんの取り柄のように思える。バクシャーのことが手に取るようにわかり、思いやれる力と人柄が、山の山頂で竜と対峙する際にいかんなく発揮されることも胸が熱くなる場面だった。

人物の心情が痛いくらい伝わってくる細かい描写も素敵。例えば、アランが冒険の一行に加わることを志願したときの母親サラの言動には、ちょっと涙ぐんでしまった。

 「うちの庭の手入れをしてくれてもいいのよ、アラン」アランの母のサラが声をあげた。
 まわりの人々から笑いが起こった。サラの年老いた顔もほほえんでいた。しかし、ローワンとアランには、サラの手がエプロンの白い布をひねるようににぎりしめているのが見えた。その目は笑いではなく、見えない涙で光っていた。P44

スリルに満ちドキドキワクワクする冒険物語の中に、登場人物の心の機微が細やかに描かれていることで、ローワンや村の人々の気持ちに寄り添いながら物語に入り込むことができる。すばらしい物語だった。

2024年11月24日

読書状況 読み終わった [2024年11月24日]
カテゴリ 高_物語

ノルウェーの農場に住むオーラの物語。村じゅうの牛を預って、山の牧場で牛追いの仕事をして夏を過ごす。

オーラは、大自然の中で立派に仕事をしながら、のびのびと遊んだり、弟とエイナールとしょっちゅうけんかしたりする素朴な日常を送っている。

普段、散々エイナールを妬んだり、苛立たされたりしているものの、ときおり兄として優しい一面を覗かせるオーラが素敵だった。

行方不明のエイナールを思う場面。「ああ、神さま、もちろん、ぼくは、ずいぶんエイナールをいじめました。でも、べつに悪い気でやったんじゃないんです。ぼく、誓ってもいいです。それで、もし神さまが、こんどだけ、エイナールをかえしてくだされば、ぼくは、もうけっしてーーけっしてーー」

行方不明の牛パティマーを、エイナールと一緒に遠い遠い牧場まで探しに行く場面。幼いエイナールが疲れ切った体で強情に歩き続ける姿を見てオーラが言った言葉。「家へ帰ったら、おまえに洗礼式のボタンやるよ。」

こうした優しい気持ちを、不器用にしか表せないオーラがとても愛おしくなる。

偶然出会ったインゲルとは、恋が芽生えていくのだろうか。そこも気になるところ。

2024年11月23日

読書状況 読み終わった [2024年11月23日]
カテゴリ 高_物語

冒頭、孤独なびりっかすの子ねこの不運に胸を痛めつつも、年よりの大きな犬と出会うシーンはとても素敵で、子猫といっしょに心の安らぎを感じられた。

その安らぎも束の間、子ねこが納屋を飛び出してしまってからは、「広い世界」の冒険が始まる。七つの家を次々に訊ねていき、さまざまな人々や動物たちと出会ってひと騒動もちあがっていくのは、こちらは楽しく読めるが子猫にとっては大変だ。

そんな子猫が「七つ目の家」で、ついに幸せを見つける場面は、冒頭の大きな犬と過ごした幸せが、何倍にも膨らんだような気持ちになった。

順々に家を訊ねていくところでは、少々飽きてしまう子もいるかもしれないけど、最後まで読むと大きな満足感と幸福感に包まれる作品だと思う。

「目の みえない 年よりいぬは、子ねこが よってくるのを かんじ、やさしい ひくい こえを たてて、まえ足を のばして すわりました。
子ねこさ その 足の あいだ、毛の もしゃもしゃした あごの 下に、小さく まるくなったのでした。」P132

2024年11月20日

読書状況 読み終わった [2024年11月20日]
カテゴリ 低_物語

村のみんながとにかく温かく(靴屋さんだけは別として)、安心感で包まれる作品。

6人の子どもたちは、その空想力と遊び心で、やかまし村で本当にいろんな遊びを思いつく。日常が冒険に満ちている。子ども本来の姿を見ているよう。

こんな子ども時代を過ごすことができたら幸せだなーって、一つの理想を見ているような感覚になった。子どもを閉じ込めてないか、押さえつけすぎてないかなって感じちゃう。せめて、この物語を読む中でだけでも、子どもの中の「子ども」の部分を解き放ってほしいなって思った。

2024年11月17日

読書状況 読み終わった [2024年11月17日]
カテゴリ 中_物語

情景がとても美しく、心の中に印象深く残る。

2024年11月17日

読書状況 読み終わった [2024年11月17日]
カテゴリ 高_絵本
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物語の舞台は1930年代の南ドイツ。少年クリストフは、貧しい家族を助けようと大胆な計画を立てる。飛行船に潜り込んで海を越え、アメリカに渡ろうとするのだ。知恵と勇敢さで数々の困難を乗り越えていくクリストフの心踊る冒険のお話。

クリストフは確かにお金を払わずに「密航する」んだけど、家族を助けたいという思いからだし、なんとか罪を償おうとがんばろうという思いもある。勇敢さも優しさも誠実さもあわせもつ、クリストフのまっすぐな思いに心を掴まれた。

空の上での命がけの飛行船修理作業をやり遂げ、みんなから認められるクリストフがたまらなく誇らしい。船長はとりわけクリストフを「小さな友人」として認め、最後まで気にかけてくれる温かな存在で、素敵な人だった。

ハラハラする冒険の面白さだけでなく、その中に人物の魅力がちゃんと細やかに感じられる物語を、子どもたちに読んであげたいなあ。

2024年11月17日

読書状況 読み終わった [2024年11月17日]

犬の死の悲しみに打ちひしがれながらも、死と向き合っていくジェミーのお話。これは本当に傑作だと思う。

おじさんやおばあちゃんが、ジェミーの悲しみに優しく寄り添いながら、大切な話をするところがものすごくいい。一言一言に、長い人生を生きてきたからこその深みが滲み出ていて、こんな話を子どもにしてやれる親になりたいと心底感じられた。素敵な大人だー。

そして、その話を簡単には受け入れられずに反発するジェミーの姿も、子どもの心を丁寧に捉えて描いていていい。キングが死に、新しい犬を連れてきた家族に対して憤るジェミーの姿にも、子どもを子ども扱いせずに描こうとする一貫した姿勢が見られて、好感を覚えた。

これなら、子どもたちもジェミーに共感を抱きながら、おじさんやおばあちゃんの話をゆっくりと心に留めていくことができるだろう。この本のなかで、子どもはちゃんと、甘く見られずに描かれているから。

低学年でも読めるけど、死をどう受け入れていくかという話にとても深みがあるから、中学年以上の子に読んであげたい気がする。まるごと読んであげたい。4年生、5年生あたりに。

「おぼえておいて、ジェミー。おまえがだいじにおもっているものは、けっしてしんだりなんかしないってことをね。そういうものは、いつまでも、おまえのこころの中にいきているのさ。けっしてなくならない、たからものなんだよ。」P59

2024年11月14日

読書状況 読み終わった [2024年11月14日]
カテゴリ 中_物語
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「あさってのしんぶん」で折った舟が大きくなって、3人で旅に出かけるというわくわくするお話。

水車にぶつかりそうになったり、舟底に穴が空いたりと、大きな川に出てしまったりと、いろいろと起こる問題を3人で切り抜けていくところが楽しい。

望遠鏡でのぞくと遠くのものが近くにきて、望遠鏡の反対側でのぞくと、近くのものが遠くにいってしまうといったような「ふしぎ」なことがいっぱい起こるのも、子どもたちの心をウキウキさせそう。

「おじいさんシュタニスラウス」、「おとうさんシュタニスラウス」、「小さいシュタニスラウス」の3人組の言動もユーモラスで、ほのぼのとした心地よい笑いをもたらしてくれる。

屋根裏部屋にある「たくさんのおもいでのしながはいっている、大きなはこ」に、旅の思い出の品をしまうという物語の最後も素敵。

物語の楽しさ、空想する楽しさを存分に楽しめる作品。2年生に全部読んであげたい。

2024年11月14日

読書状況 読み終わった [2024年11月14日]
カテゴリ 低_物語
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父親の山神に屈せず立ち向かっていくパワフルな女の子、スズナ姫が魅力的。呪文を唱えて雨を降らし、スズナ山に虹をかける様子にワクワクするし、モッコウギツネたちと協力して虹から絵の具をとって、山を紅葉させる様子にうっとりする。見事、山を紅葉させて山神に、その力を認めてもらう場面では誇らしい気持ちになれる。

女の子はもちろん、男の子も楽しめそうな力強い物語で、3年生にまるごと読んであげたい。最初に、人物の名前、山や雲の名前をホワイトボードに書いて紹介しておくと理解しやすいかな。

2024年11月12日

読書状況 読み終わった [2024年11月12日]
カテゴリ 中_物語

心ゆくままに、でも一生懸命生きているエーミルのエネルギッシュな姿に、笑いと元気をもらえるようなお話。

エーミルがいたずらをしちゃうってよりさ、夢中でしたことがいたずらみたいになっちゃってドタバタが巻き起こるかんじ。だからユーモラスで憎めない。

お父さんやお母さんも見ていて楽しい。どこかマヌケで、特にエーミルが頭をつっこんで抜けなくなったスープ鉢を割るか、医者に取ってもらうかを金勘定しながら言い争うところなんて、誰でも笑っちゃうとびきり愉快なシーンだと思う。

お父さんは、いたずらをしたエーミルを小屋に閉じ込めたりなんかするけれど、少し時間が経つと心配している。お母さんは、いつもエーミルを良い子だと言って守っている。アルフレッドは、エミールが大好きな友だち。エーミルはいろんなことを巻き起こすけど、周りの人々が温かいから、すごく安心して楽しめる素敵なお話になっている。

『読む力が未来をひらく』で、3年生に少しずつまるごと読み聞かせたという報告があって、自分もやりたいと思った。

2024年11月10日

読書状況 読み終わった [2024年11月10日]
カテゴリ 中_物語

男の子と竜、聖ジョージがみんな心根が優しく、素敵。3人が作戦を立てたり、それを実行する場面はすごくワクワクしてお話に引き込まれる。

思い込みや身勝手な好奇心から愚かな言動をとる村人たちの心に訴える聖ジョージの演説は子どもの心にもまっすぐ届きそう。

「のんき」なりゅうのキャラクターは、愛さずにはいられない。そんな友だちのりゅうを守ろうと奔走する純粋な男の子も本当に魅力的。いい話だったー。

2024年11月3日

読書状況 読み終わった [2024年11月3日]
カテゴリ 低_物語

メアリとディコンは、10年間閉ざされた花園の秘密をコリンにも打ち明け、庭を生き返らせていく。それにつれてメアリやコリンも、生きる喜びを取り戻していく。

人は変わることができるという力強いメッセージが感じられた。外でお日様を浴びたり、体を動かしたり、よく食べたり、笑ったりするなかで、メアリとコリンは変わり、生気を取り戻していく。

「もっとおどろくべきことがだれにでも起こりうるのですーー自信を失わせるようないやな考えが心に入り込んでくるとき、早く気がついて、勇気が出るような楽しい考えをとりいれることによって、それを押し出すことができる人なら、だれにでも。ふたつのことはひとつの場所にはおさまらないのです。」P223

マーサやディコンとの微笑ましい会話や、花園がその生命力を取り戻していく様子を鮮やかに見せてくれる描写など、細やかな表現が魅力的だった。メアリやコリンの変化や日々の驚くべきことや楽しかったことなどを話している周りの人々の会話の描写もウキウキしちゃう。

この世で生きていくことの不思議のひとつは、いつまでもいつまでも生きるという確信がもてるのはときたましかない、ということです。〜コリンが高い塀にかこまれた隠された庭のなかで、はじめて春を見て聞いて感じたとき、まさしくこのようなことが起こったのです。その日の午後は、世界じゅうが完璧で光りかがやくほど美しく、ひとりの少年への思いやりに満ちているようでした。P110-111

『大きなよいこと』をいつも信じて、世界にはそれがいっぱいある、ということを信じにゃいけんよ。P216

2024年11月3日

読書状況 読み終わった [2024年11月3日]
カテゴリ 高_物語

10年間閉ざされた「秘密の花園」が、メアリーを変えていくお話。

大人から放っておかれ、誰に対してもつむじ曲がりだったメアリが、徐々に人に心を開いていくところが好き。荒野からの風にふれ、外で走り回り、よく食べ、体が丈夫になっていくメアリも微笑ましく読んだ。

養母のマーサ、庭師のジム、自然を知るディコン、それぞれの人がメアリに温かい眼差しを向けてくれて、読んでいて嬉しくなった。屋敷に「隠された子」であるコリンは、少しメアリと似た境遇といえるかもしれない。コリンが「生きる希望」をどのように抱いていくことになるのか、ということも気になる。メアリとディコンと秘密の花園に行くのだろうか。下巻が楽しみ。

「秘密の花園」は、メアリだけでなく読者をも魅了する。10年間閉ざされた庭には何があるのか、鍵や扉はどこなのか。秘密の花園に入るまでもワクワクするし、扉が開かれた後も、メアリと花園との今後の関わりから目を離せない。

秘密の花園で、ディコンと庭仕事をして、花園を再生しようとしているところがいちばん印象的な場面だった。スリリングだし、ワクワクするし、ディコンの知恵にも驚く。花がたくさん咲くのかなー、楽しみ。

2024年10月31日

読書状況 読み終わった [2024年10月31日]
カテゴリ 高_物語

絵を描くことへの燃えるような情熱を、不遇の中でも持ち続け、たとえ折檻されても絵を描こうとしたティキ・プー。その思いの強さに引き込まれるように読んだ。

300年前の巨匠の絵の中に入っていって教えをうける不思議にも心を奪われる。巨匠の絵を見続け、入り込んでしまうほど、その絵から学ぼうとしていたことの表れなのかもしれない。

不思議な余韻を残す作品で、学校の子たちにも読んであげたい。

2024年10月24日

読書状況 読み終わった [2024年10月24日]
カテゴリ 中_物語

リリが思い出せないものがたりを、おばあちゃんの友達フサ子さんの物語を聞くことによって思い出すというお話。

リリの思い出せなかった思い出が、フサ子さんの物語の続きになることにワクワクした。フサ子さんの物語の最初と最後が、思いがけずフサ子さん自身とリリ自身の思い出でつながって、「ああよかった!」と思える物語の構成が素敵だった。

「ほんとうにあったお話、もしかしたら、ほんとうだったかもしれないお話、ほんとうだと思ったけれど、ほんとうじゃなかったのかもしれないお話……。そんなお話が、ぐるぐるとみんな、つながって、たぶん、おもしろい、ひとつのお話になることでしょう。」

2024年10月24日

読書状況 読み終わった [2024年10月24日]
カテゴリ 低_物語

謎が気になって一気読みできる。この本の中で起こる事件が、悪人のしわざでも、ただのいたずらじゃなくて、のっぴきならない事情から行われたものというのもいい。その事情に理解を示す名探偵辻堂天馬がかっこいい。

身近な学校が舞台というところもいいな。子どもに勧めやすいし、勧めたいと思える作品だった。

2024年10月23日

読書状況 読み終わった [2024年10月23日]

フクラム国に届いた小包に入っていたのは、なんと赤ん坊だった。ジム・ボタンと名付けられたその赤ん坊は、やがて大きくなり、機関士ルーカスと機関車エマとともに旅に出る。彼らは姫を救うため、度重なる困難と危険を乗り越え竜との戦いに挑む。

まだ半人前のジム・ボタンが勇気を奮い起こし、窮地を脱していく姿に感動する。機関士ルーカスがジムの勇敢さを称えるシーンもたまらなく誇らしい。旅からの帰り道、待ち受ける人たちの興奮や歓迎を読むのも楽しい体験だった。

分厚くなかなか手に取られないが、本格的な冒険物語を求める子に差し出したい本。というか、全部読んであげたい。旅を通して学び成長するジムの姿は、子どもたちの心にきっと大事なものを残してくれると思う。

まだ物語は完結してなくて、13人の海賊との対決は待っているのかとか、ジムが読み書きを習って姫と結婚するのかとか、気になることがいろいろ。『ジム・ボタンと13人の海賊』も読みたい。

ーーー

「親友をおいてきぼりにするなんて、ぼく、できない。ぼくたち三人ともここにいるか、みんなで出ていくか、どっちかしかないよ。ここにみんなでいられないんだから、出ていくしかないーーみんなで。」P40


「ぼくを、つれて、きて、よかった、だろ?」
「ジム・ボタン!」ルーカスはいいました。「きみは、偉大なちびだ! きみがいなかったら、もう、おしまいだったよ。」P172

「そしてこれからは、人でも、ものでも、近よってよく見もしないうちにこわがることはぜったいにするものかと、心の中で思いました。このトゥー・トゥーさんのような場合もあるかもしれないのです。ジムは、これをしっかりと心にきざみつけておこうとちかいました。」P200

2024年10月16日

読書状況 読み終わった [2024年10月16日]
カテゴリ 高_物語

学校で特に中学年以上の女の子に人気のシリーズ。この本は図書委員ホン子のお話。2年生のユウキくんに、何度も『おかえし』を読んであげるなかで、図書委員として仕事をする喜びに気づいていく。

『おかえし』という絵本がこの物語のストーリーの土台となっているところが面白い。「しかえし」と「おかえし」が対比されたり、「おへんじ」と「おかえし」が重なったり、クライマックスには素敵な「おかえし」が待ち受けていたり。『おかえし』を合わせて読みたくなる。

大人目線だけど、読み聞かせを通して文字と音を一致させていくことが、自分で読めるようになる過程で重要だということも感じられた。

6年生は、特に自分と同じ委員の話に喜んで手に取っている。自分とのつながりを見つけられると「読みたい」と思ったり、読書が楽しくなったりする。これからどの委員会に入ろうかなと考えている5年生以下の子も読みたがる。多くの子に勧めやすい長さ、読みやすさ、デザイン、そして題材。

ーーー

ホン子は思った。自分がいつもいる場所を、みんなにとっても気もちのいい場所にしたい。自分が大すきな時間や空間を、みんなにもすきになってもらいたい。P121

2024年10月15日

読書状況 読み終わった [2024年10月15日]
カテゴリ 中_物語

魔法学校の先生のレッスンを受けながら子どもたちが徐々に魔法を習得していく様子を、心躍らせながら読むことができる。

自分の本当の望みを知ることで魔法が使えるようになるということを先生が話しているシーンが好き。自分の本当の望みって何? 本当の望みではない望みに自分はとらわれているかも? って、ハッとさせられる。

エンデのお話を読むと、ユーモアに笑わされたり、不思議に包まれたりする中で、いつもそんなハッとするような気づきがある。

2024年10月10日

読書状況 読み終わった [2024年10月10日]

もう2どと あくたれは しまいと、ラルフはおもいました。でも……

セイラのねこラルフは、かぞくをこまらせてばかりいる、ひどいあくたれ。セイラののるぶらんこのひもを切ったり、パーティーのクッキーをぜんぶ一口ずつかじったりします。ある日、家族でみに行ったサーカスでも、ラルフは大暴れ。サーカスにおきざりにされてしまいます。おきざりにされたラルフは、どうなってしまうのでしょう。

ラルフのいたずらっぷりが楽しい絵本です。

2024年10月9日

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