2013.7.1市立図書館
日本語の表記法の変遷を軸とした歴史。
万葉の時代から江戸・明治期にかけて、漢字とかなを混ぜて書くスタイルがいかようにしてあみだされてきたか、その到達点ともいえる明治期の日本語表記の多種多様性を知ることは、常用漢字表で漢字の数や読み方を整理したうえに、さらにデジタル化の波で表記の統一(≒正書法)への志向がますます強まる現代の表記に一石を投じている、と読めた。読み進めるうちに、正書法がないのが日本の表記の一大特徴でもあり、それは表記にとどまらず語彙や文体にもかかわってくることだから、制約を強める方向性はどうかな、と思えてくる。最後の「現代日本語の表記」をもっとふくらませたらおもしろかったと思う。
また、このシリーズのターゲットはどこにあるのだろう? 専門家ではなくもっと広い読者を想定しているはずだけれど、全体的に専門語や固い言葉、業界内での弁明が目立ち、一般に読んでもらうにはとっつきにくい印象も残念。
表記一つでもシリーズを出せそうなくらいさまざまな視点や問題がつまっているなと改めて思う。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
言葉・専門書・テキスト
- 感想投稿日 : 2013年7月1日
- 読了日 : 2013年7月16日
- 本棚登録日 : 2013年7月1日
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