ハックフィン少年と黒人のジム爺さんの冒険譚。
あとがきにこの小説は子供のための読み物ではなく「大人に、大人のみに読まれるべきだ」とあるが、ハックの正直で素直な、無垢で自由な精神は大人になっても老人になっても、いやむしろ大人や老人にとってこそ大切だと、おっさんになった今はしみじみと思う。
ハックのろくでなし親父のセリフ「返すつもりで借りたものは盗んだことにはならない」は自分勝手で一方的な言い逃れに聞こえるが、昔自分の友人が「相手がどう思っていようとこっちが友達と思っていたらそれは友達だ」と言っていたのを思い出す。「人の良心というものは物の道理がわからず、なんでもかんでも人を責めるだけだ」も妙に心に残る。
奴隷制度、児童虐待など今なら完全アウトな内容も多いが、こんなとんでもなく理不尽な時代をたくましく生き抜いてきた純粋な精神性はなにかと小うるさい現代でこそ眩しく光り輝いている。
終盤トムソーヤーが突如登場し、ハックとともにジム救出に奔走するが(このあたりのドタバタは何のことやら?)ここでもトムはカリスマとして君臨。しかし、善意の人に対して悪戯や嘘を次々と繰り返す様は悪魔的なものさえ感じて少々閉口するな~。最後は当然大団円になるんだが。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
海外文学
- 感想投稿日 : 2023年11月25日
- 読了日 : 2023年11月25日
- 本棚登録日 : 2022年12月21日
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