誰もが無意識のうちに明治維新を近代化への第一歩と捉えてきた中、その意義を改めて問い直した作品。
主人公は、二本松出身の歴史学者にして実在の人物。父は戊辰戦争に参戦し、敗北した経験を持つ。
主人公は明治以降の教育を受けたため、戊辰戦争に敗北した父をはじめ故郷の人たちを見下し反発する。そして、アメリカに渡り大学教授となる。
しかし、時代は日露戦争後の混乱期。
日本は満州事変に上海事変、首相暗殺、と軍部の暴走がエスカレートする。
そんな時代にあって、主人公は父の書付をもとに明治維新を再検討する。
そして、軍部の暴走の根源は明治維新にあると発見する。
「勝てさえすればどんな不正を働いても構わない」という明治維新・薩長の価値観が今日の混乱をもたらした。
薩摩の御用盗に、明治天皇の暗殺、大義のない会津攻め。
薩長はやりたい放題をやって、政権を奪取した。
日本が太平洋戦争に至った原因も敗北した原因も、全て明治維新及び薩長にあると言っても過言ではない。
そして、その体制から未だ脱却できていない政権の時代を私達は生きている。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年8月23日
- 読了日 : 2022年8月21日
- 本棚登録日 : 2022年8月15日
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