古代研究〈3〉国文学の発生 (中公クラシックス)

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レビュー : 4
著者 :
櫻主さん いろはかるた   未設定


【090712】芸は身を助ける


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夕刊を開いて僕は驚いた。
僕が送った人生相談に回答がついて記事になっていた。
新聞の相談記事など自作自演だと信じていた。
だが、自分の相談が取り上げられたことよって、僕の仮説が否定されてしまった。

僕は学校を出てからいくつもの会社を転々とした。
つい最近までは派遣社員として働いていた。
しかし、このご時世だ。
ご多分に漏れず職を失った。
そんなわけで時間はたっぷりある。
暇つぶしにシニカルに人生相談なんぞ投稿してみたのだ。

「あなたのご相談を拝見して、ひとつ気になるのは、あなたの『好きなこと』、『やりたいこと』が、具体的に伝わってこない点です。
 明日に世界の終わりが来るのなら、あなたはいま何をしたいか考えて人生の道しるべにされてはいかがでしょう。」

嗚呼。僕は頭を抱えた。それでは解決にならないのだ。
僕のしたいことは決まっている。それでもどうにもならないのだ。
そんなことを追求したってあなたの言うような人生なんておくれやしない。

僕は女に成りたかった。
いや、それは正しくない。女として生まれたかったというべきか。
心は「女に生まれて男に仕えたい」と願っている。

別段、性同一障害というわけではないと思う。
自分は男だと思っているし、自覚している。
いまの社会はやはり男性優位だし、男でよかったと思っている。
それに僕は真っ当だ。
例えば、女装マニヤの気持ちなんて露ほども分からない。女の服をきて化粧をした『男』ではないか。
例えば、性転換をしたって入れ物の本質は『男』なのだ。女として生まれたわけじゃない。

結局、古今東西の小説を読み耽り、その女主人公や登場する女達に自分を投影して嫉妬して屈折した想いを膨らませているだけだ。
生産的じゃない。

「女に生まれて男に仕えたい」
僕は、何を願っているのだろう。確かに具体的に伝わりはしない。
「仕える」とはなんだろう。流行のメイドになりたいわけじゃない。それならば執事で十分だ。
瞼を閉じて想うのは饗宴でもてなしとして客人に捧げられる姿。
「まれびとを迎えて、あるじする」
素材としての僕(あたし)。

男に身体を委ねてみるか。
もしかしたら、僕の『好きなこと』、『やりたいこと』に近づけるかもしれない。
でも・・・

「芸(ゲイ)は身を助ける」

笑。助けやしない。やめよう。僕はそう感じた。

レビュー投稿日
2009年7月12日
本棚登録日
2009年7月12日
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