日本文化における時間と空間

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  • 岩波書店 (2007年3月27日発売)
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本棚登録 : 496
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日本の文化の特徴を、「いま」に対する認識の強さという観点からとらえている。

例えば時間の感覚については、日本語の中には構造的にしっかりとした時制の体系がないということから、自らの意識の外にある時間の流れの中に物事を位置づける感覚が弱いといったことが挙げられている。過去を振り返り反省することや未来を構築することより、うつろう「いま」を中心に物事を認識するという日本文化の特徴につながっている。

また、空間の面でも、日本の建築が初めから全体の構想を立てるのではなく、順次建て増しをしながら拡張をしていく作り方にもされているということも、挙げられている。これも、それぞれの時点で完成をさせながらも、次の時点では新しい完成に向かって移り変わっていく日本文化の「いま」のとらえ方の特徴を表している。

日本文学だけでなく、絵画、言語、建築、政治・社会といった幅の広い分野に論点を広げながらも、大きくは「時間」と「空間」の観点から日本文化を分析していた点が印象に残った。

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感想投稿日 : 2016年8月28日
読了日 : 2016年8月27日
本棚登録日 : 2016年8月21日

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