9プリンシプルズ:加速する未来で勝ち残るために

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本棚登録 : 427
レビュー : 29
制作 : 山形 浩生 
saltuscafeさん  未設定  読み終わった 

MITのメディア・ラボが肌感覚で捉えている、変化の激しい時代に生き残っていくために必要なものごとへの向き合い方を感じることができた。

変化が加速度的に進む時代においては、これまでの枠組みの延長上で将来像を予測することはできない。その際に、より抽象度の高いレベルで社会の仕組みや技術構造の変化を読み解く推論の力も必要だが、実際に変化を起こしながらリアルタイムで社会とやりとりをしつつ、新しいパラダイムを作り出していくような力も求められている。

生物学は技術だと喝破したトム・ナイトや、「実配備せよ」というメディア・ラボのスローガンに、そのような姿勢が表れているように感じた。

パラダイムの変化は、全体像を先に作ったうえでシステマチックに起こるのではなく、部分の突然変異がその周辺、やがては全体に影響し、結果的にまったく新しいシステムへと変容していくといった形で起こってくると考える方が自然である。そうであれば、その突然変異の最先端にいることが、進むべき道を切り開くために必要である。

一方で、メディア・ラボは時代の最先端にいることだけを至上の価値としているわけではなく、その変化が社会のあり方をどのように変えていくのかという、どちらかというと意味や価値の領域をも重視しているという点も、非常に大切なポイントであると感じた。

「責任あるイノベーションは速度と効率性以上のものを必要とする」という発想に、その姿勢が表れていると感じた。しかし、メディア・ラボでは、それはある特定の価値観を前提に新しいシステムを「設計する」という発想につながるものではなく、あくまで社会のシステムのとの「関係性」の中で、イノベーションがどのような影響を与えるかを常に考えるという姿勢につながっていく。

ネットワークのノードとしてのラボとして、モノづくりだけではなく、慈善財団、篤志家、コミュニティといった様々な主体との関係性を作り上げていく姿勢は、オープンなシステムに変革を起こそうとする組織のあり方として、非常に大切なものであると思う。

大学のラボという枠組みを超えて、これからイノベーションに関わる全ての組織に必要な要素を教えてくれる本だったと思う。

レビュー投稿日
2018年4月30日
読了日
2018年3月20日
本棚登録日
2018年3月11日
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