最後の授業――心をみる人たちへ

著者 :
  • みすず書房 (2010年7月22日発売)
3.85
  • (13)
  • (20)
  • (18)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 253
感想 : 29
3

目に見えないものに名前をつけることで、それが取り扱いの対象になるということ。

言葉にすることで、溜まっているものを外に出すことができること。

私の経験をふまえた上での臨床心理学>「私たちのフィールドはパーソナル・コミュニケーションにある」ということ。それは、マスコミュニケーションとは対立する、相容れない、あるいは共存するしかない領域です。

リフレクション効果>患者さんの自己イメージを聞いて、それを私たちが体験し、照らし返してあげることが私たちの重要な仕事です。

つまり、人の心が持つ傾向を映し出す鏡になること。「人と出会うと必ず競争してしまうんですね」とか「結局あなたは甘えたいんだ」とか「あなたは愛されてないときっと思っている。でも、実はちょっとくらい愛されていると思っているでしょう」、というようなことを指摘する鏡になると言うことが、私たちの仕事として果てしなく続くのです。この、人の心の鏡になるという機能において、臨床心理学は儲からないけど生き残ると思います。

私たちセラピストはお母さんの仕事を引き継ぐわけですから、お母さんの仕事から学ぶことがたくさんある。ここでお母さんがやっているのは、二者間内交流です。「面白いね」という話しかけ、それは非言語的に、情緒的に伝えられている。「きれいね」というようなことは、非言語的に身体的に伝わる。でも、この領域を言葉にして取り扱うのが私たちですね。

「面白い」の語源>柳田国男>(野の鳥の昔話に)子供が一致して耳を傾ける心持ちを面白いといったといい、「人の顔が一つの光に向かって、一斉に照らされる形を意味したらしい」としている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2011年7月1日
読了日 : 2010年11月24日
本棚登録日 : 2010年11月24日

みんなの感想をみる

ツイートする