i(アイ)

3.64
  • (184)
  • (343)
  • (341)
  • (74)
  • (13)
本棚登録 : 3212
レビュー : 362
著者 :
sallyme12さん フィクション小説   読み終わった 

「いつでも自分たちは恵まれているんだということを自覚して生きなさい」。それが、裕福な家庭で育ったアイが養父母から刷り込まれてきた「道徳」だった。

世界で苦しむ人たちを想い、自分の言動すべてを忌ましめる。アイのように、私はそこまで究極的に自分を苦しめる行為はしない。けれど、「なぜ私は生きているのだろうか」という消せぬ想いをどこか抱えながら生きてきた。

「あなたは存在しているだけで価値があるんだよ」という言葉は、最近の女性向け自己啓発書にあふれている。

満たされない承認欲求を抱えて生きる不器用な女たちに向けられた、心地いいだけで空っぽの言葉。

どんなにステキな人に話を聞いても、どんなに感銘を受ける小説を読んでも、誰も生きていていい「理由」を教えてはくれなかった。そんな私に、この小説は答えをくれた。

「愛されている(あるいは愛する人がいる)」から生きていていいのではない。「仕事の担い手として必要」だから、生きていいのでもない。究極的に言えば、愛がなくともあなたは生きていていいのだ。アイは親友と出会い、愛する人と愛し合い、絶望し、人生の目標を見失いかけたとき、その結論にたどり着く。

真夏のカリフォルニアのビーチで、彼女が自らのチカラで背負っていた苦しさをすべて脱ぎ捨てたとき、私もすべての重荷を解放できた気がした。ありがとう、アイ。

レビュー投稿日
2017年12月3日
読了日
2017年11月26日
本棚登録日
2017年11月18日
2
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『i(アイ)』のレビューをもっとみる

『i(アイ)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

いいね!してくれた人

ツイートする